
被リンクの増やし方|買わずに、自社の実績から地道に積む手順
「うちのサイト、被リンクが少ないらしいよ」
上司からそう言われて、Search Console のリンクレポートを開いてみた。並んでいるのは、見覚えのない海外のドメインと、昔どこかに登録した業者サイト。数えるほどしかない。競合は何百本あるらしい、という話も聞こえてくる。
正直、どうしたらいいのか分からないですよね。記事を書くのとは違って、被リンクは相手のあることです。自分の手だけでは増やせない。そこへ「被リンク100本」という営業メールが届いて、少しだけ心が揺れる。——ここまでは、多くの担当者が一度は通る道です。
結論:やることは4つです。①いま誰からリンクされているかを Search Console で見る → ②自社が載っている外部サイトを棚卸しする(取引先・業界団体・自治体・採用媒体・展示会など)→ ③載っているのにリンクがない/リンクが古いところを、一言お願いして直してもらう → ④リンクされる理由になるページを1つ育てる。
そして、いちばん大事な前提がひとつ。リンクは買わない。数を追うのではなく、実在の関係をひとつずつ数えていきます。今日は①だけでも十分な前進です。
何が起きているのか
まず言葉の整理から。被リンク(バックリンク/外部リンク)とは、他のサイトから自社サイトへ向けて張られたリンクのことです。検索エンジンは「他のサイトから参照されているか」を、そのページを評価する手がかりのひとつとして見ています。ただし、あくまでたくさんある手がかりのうちのひとつで、本数が多ければ順位が上がる、という単純な関係ではありません。
ここで、多くの担当者がつまずくポイントがあります。「被リンクは本数で語られやすい」ことです。
競合は何本、うちは何本。SEO会社の提案書にも、営業メールにも、その数字が並びます。だから「本数を増やす仕事」だと思ってしまう。けれど、リンクを売買したり、機械的に大量生成したりする行為は、Googleのスパムに関するポリシーで問題として扱われています。買ったリンクは評価されないだけでなく、サイト全体の評価に影響することもあります。お金を払って、時間も使って、マイナスに振れることがある。だから「増やす」の前に、「買わない」が来ます。
(そういう営業メールの見分け方は、SEOの営業電話・メールをどう判断するかにまとめています。)
そのうえで、事業会社には、実はとても強い持ち札があります。
すでに、外の世界とたくさんつながっていること。
取引先の導入事例に社名が出ている。業界団体の会員一覧に載っている。商工会議所の企業紹介にある。求人媒体に会社ページがある。展示会の出展社リストに名前がある。地域の広報誌に協賛として掲載された。大学や高校の進路情報に載っている。——こういう接点を、営業や総務や広報や採用の人たちが、何年もかけて積み上げてきました。
ところが、それらの多くは「リンクになっていない」のです。
- 社名がテキストで書いてあるだけでリンクが張られていない
- リンクはあるけれど、サイトをリニューアルする前の古いURLのまま
- リンク先がトップページで、いちばん見てほしい製品ページに届いていない
これは、誰のミスでもありません。相手のサイトを作ったとき、そこまで気が回らなかった。それだけのことです。そして、一言お願いすれば直ることが、かなりの割合であります。
被リンクを増やす仕事は、ゼロから知らない誰かに気に入られる仕事ではありません。すでにある関係を、リンクという形にしていく仕事です。そう考えると、少し肩の力が抜けませんか。
なお、リンクにはrel="nofollow"やrel="sponsored"という目印が付いていることがあります(広告や、サイト運営者が評価を渡さない意図で付けるもの)。これが付いていると検索エンジンへの効き方は変わりますが、そのリンクから人は来ます。無意味ではないので、「nofollowだから断る」といった考え方はしなくて大丈夫です。
手順を小さく分ける

- いま誰からリンクされているかを見る
- Search Console にログインし、左メニューの「リンク」を開きます。「外部リンク」の中の「上位のリンク元サイト」が、今の被リンクの顔ぶれです(画面の名称や位置は変わることがあります)。
- ここで見るのは本数ではなく「誰から」です。取引先や業界団体の名前があれば、それがあなたの資産です。逆に、心当たりのない大量の海外ドメインが並んでいても、慌てなくて大丈夫。放置されている無効なリンクは、検索エンジン側で無視されるのが基本の扱いです。
- Search Console をまだ使っていなければ、先にSearch Console の基本から。導入は無料で、10分ほどです。
- 自社が載っている外部サイトを棚卸しする
- まず社名で検索してみます。自社サイト以外で名前が出てくるページを、上から20件ほど眺めるだけでも、思ったより出てきます。
- つぎに社内に聞きます。これがいちばん早い。営業・総務・広報・採用の人が、外部掲載の情報を持っています。チャットに一言、「うちの会社が紹介されている外部のサイト、ご存じないですか」と投げてみてください。
- 探す先の目安:取引先の導入事例/業界団体・組合の会員一覧/商工会議所・自治体の企業紹介/求人・採用媒体/展示会・イベントの出展社一覧/協賛・寄付の一覧/地元メディア・フリーペーパー/取扱店・代理店リスト/学校のインターン受け入れ先。
- 見つけたら、スプレッドシートに「サイト名/掲載URL/リンクの有無/リンク先URL/窓口」の5列でメモします。凝らなくて大丈夫、5列で十分です。
- 「載っているのにリンクがない/古い」を直してもらう
- 棚卸ししたリストを見て、次の3つに印をつけます。(a) リンクがない/(b) 古いURLのまま/(c) トップページに向いていて、本当は製品ページに向けたい。
- 直してもらいたいところに、短くお願いします。長い依頼文は読まれません。「どのページの・どこを・何に」の3点だけ書けば伝わります。
> ○○株式会社 ご担当者さま > > いつもお世話になっております。△△株式会社の□□と申します。 > 貴社サイトの導入事例ページ(https://…)に、弊社をご紹介いただきありがとうございます。 > > 恐れ入りますが、記載いただいている弊社名から、下記のページへリンクを追加していただくことは可能でしょうか。 > https://…(弊社の該当製品ページ) > > ご対応が難しい場合は、そのままで問題ございません。ご検討いただけますと幸いです。
- ポイントは「難しければそのままで結構です」を必ず添えること。相手のサイトを直す作業をお願いしているので、断りやすくしておくのが礼儀ですし、結果的に通りやすくもなります。
- 古いURLが残っている場合は、相手に直してもらうのと並行して、自社側でも旧URLから新URLへの転送(301リダイレクト)が効いているかを確認しておくと安心です(URL構成とリダイレクトの基本)。相手が直してくれなくても、訪問者は目的のページにたどり着けます。
- リンクされる理由になるページを、1つ育てる
- ここが時間はかかるけれど、いちばん効いてくるところです。他所から参照したくなるページを自社サイトに置きます。
- 事業会社が強いのは、自社にしか出せない一次情報です。たとえば——現場や製造工程の実際の写真/自社で使っている書式や手順の考え方/材質・仕様の比較表/よくある失敗とその対処/業界用語のやさしい解説/自社で取った小さな調査結果。
- 逆に、どこかで読んだ一般論をまとめ直したページは、参照されにくいです。「うちだから書ける」が1行でも入っているかを基準にしてみてください。
- 会社そのものの信頼性を整えることも、遠回りに見えて効きます(会社サイトのE-E-A-Tと信頼性、会社概要ページの年次見直し)。
- 出したら、知らせる
- 良いページを作っても、黙っていれば誰にも知られません。プレスリリース、SNS、既存の取引先へのメール、メルマガ、展示会の名刺交換のあとのお礼メール。人が見て、はじめてリンクは生まれます。
- SNSでシェアされたときの見え方も、あわせて整えておくと届き方が変わります(OGP設定とSNSシェア)。
- 記録して、年に一度見直す
- 依頼した相手・日付・結果を、2で作ったスプレッドシートに書き足していきます。「お願いしたけれど返事がない」も記録に残す。半年後に別件で連絡するときに、そっと添えられます。
- 年1回、リンク元をひととおり見直します。相手のサイトがリニューアルしてリンクが消えていることもあるので、そのときはまた一言お願いすればいいだけです。
具体例
ある部品メーカーのWEB担当者(ひとり兼務)の例です。
Search Console のリンクレポートを開くと、外部リンクは12件。うち8件は心当たりのないドメインでした。落ち込みかけたところで、営業部長に「うちが載ってる外部サイトってどこかありますか」と聞いてみたそうです。
返ってきたのは、こんな話でした。
- 主要な取引先の「導入事例」ページに、10年近く前から社名が載っている(リンクなし)
- 加入している工業会の会員名簿に掲載されている(リンクあり。ただし旧ドメイン)
- 3年前に出た展示会の出展社一覧が、まだ公開されている(リンクあり。トップページ向け)
- 市の「がんばる企業紹介」に取材記事が残っている(リンクなし)
4件のうち、リンクとして機能していたのは1件だけ。残りは「載っているのに、つながっていない」状態でした。
そこで、①取引先には営業部長から一言添えてもらい、社名から製品ページへのリンクを追加、②工業会には事務局へメールして旧ドメインを修正、③市の担当課にも同じくお願い。展示会の一覧は3年前のものなので、そのままにしました。
結果、1か月で3件が反映。工業会からは「ご指摘ありがとうございました、他社さんも古いままかもしれません」という返事まで来たそうです。順位がすぐ動いたわけではありません。けれど、旧ドメインを踏んで404になっていた訪問者が、ちゃんと製品ページに着くようになりました。
もうひとつ。同じ担当者が、社内の技術者に頼んで「材質の選び方でよく聞かれること」を1ページにまとめたところ、半年後に業界の情報サイトから引用リンクが張られました。営業メールで100本買うより、この1本のほうが問い合わせにつながった、という話でした。
どちらも派手ではありません。でも、やったことは「聞く」「お願いする」「うちにしか書けないことを書く」の3つだけです。
影響
正直にお伝えすると、被リンクはすぐに順位が動く種類の施策ではありません。数か月かけて、じわじわと土台になっていくものです。今月やって今月変わる、という期待で始めると、しんどくなります。
そのかわり、この作業には副産物があります。
- 自社の外部露出が、はじめて一覧になる。営業・広報・採用がバラバラに持っていた情報が、1枚のシートに集まります。これは被リンク以前に、社内の資産です。
- 古いリンクの取りこぼしが減る。リニューアル前のURLに向いたリンクは、訪問者を404に連れていっていることがあります。それが直る(リンク切れ・404の点検)。
- 社内の人と話すきっかけになる。ひとりでWEBを回していると、社内に相談相手がいないまま数字だけ見る日が続きます。「外部サイトの掲載、知りませんか」は、その壁を軽く越える質問です。
そして、買わなかったことの価値は、数字には出ません。何も起きなかった、という形でしか現れないからです。でも、数年後に「あのとき買わなくてよかった」と思う日は、わりと確実に来ます。
明日やること
一度に全部やらなくて大丈夫です。今日は1番だけでも十分です。
- Search Console の「リンク」を開いて、上位のリンク元を10件メモする(15分)。数ではなく、顔ぶれを見ます。知っている名前がひとつでもあれば、それが出発点です。
- 社名でGoogle検索して、自社サイト以外で載っているページを3つ見つける(15分)。リンクの有無もあわせてメモします。
- 社内チャットに一言投げる:「うちの会社が紹介されている外部のサイト、ご存じの方いませんか。リンクを整理したくて」。返事は、たぶん思ったより返ってきます。
- 依頼文のテンプレを1つ作って保存しておく。上の文例をコピーして、自社の名前を入れておくだけ。次に見つけたとき、5分で送れます。
進め方に迷ったら、「今月は3件お願いしてみる」くらいの目標で十分です。相手のあることなので、こちらが決められるのは「お願いした数」だけ。そこだけを自分の成果として数えると、気持ちが折れずに続きます。
チェックリスト
最低ラインは、この3つです。ここまでできていれば、今日は十分です。
- Search Console の「リンク」で、今のリンク元の顔ぶれを確認した
- 自社が載っている外部サイトを、まず3件リストにした
- 「リンクは買わない」を自分の中の方針として決めた(社内にも共有した)
残りは「余裕があれば」の任意項目です。当てはまらなければ、空欄のままで問題ありません。
- 社内(営業・総務・広報・採用)に、外部掲載を知らないか聞いた
- リストに「リンクの有無/リンク先URL/窓口」の列を足した
- 「載っているのにリンクがない」ところへ、お願いのメールを1通送った
- 古いURLに向いたリンクを見つけ、自社側のリダイレクトも確認した
- 自社にしか書けない一次情報のページを、1つ企画した
- 依頼した相手・日付・結果を記録するシートを作った
- 年1回、リンク元を見直す日をカレンダーに置いた

被リンクは、他のSEO施策と違って、自分ひとりで完結しない仕事です。だから、うまくいかない日もあります。お願いのメールに返事が来ないこともあります。
でも、裏を返せば、これは会社が今までに築いてきた関係を、あらためて確かめる仕事でもあります。取引先が事例を書いてくれていた。工業会が名簿に載せてくれていた。市が取材に来てくれていた。それは、誰かが過去にきちんと仕事をした証です。
その一つひとつを、リンクという形で結び直していく。派手ではないし、社内で褒められることもないかもしれません。でも、半年後に振り返ったとき、「実在の関係だけで積んだ」と言えるリンクが数本あることは、買った100本よりずっと強い足場になります。
今日、リンクレポートを開いてみただけでも、もう始まっています。3件から、ゆっくりで大丈夫です。
検索エンジンのポリシーや Search Console の画面・機能名は更新されることがあります。最終的な判断や操作の前に、各サービスの最新の公式情報でご確認ください。
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