
他部署とWEBの目標をすり合わせる|営業・広報と揉めない進め方
「来月、展示会があるから、トップに大きくバナーを出して。問い合わせにつなげたいんだ」 「トップの雰囲気は崩さないでほしいの。この前リニューアルしたばかりだから」
午前に営業から、午後に広報から。どちらの言い分もわかるし、どちらも会社のためを思って言っている。だからこそ、間に立つあなたはどちらにも「いいですよ」と言えず、自席でため息をついてしまう。そんな日はありませんか。
この板挟みは、あなたの調整力が足りないからではありません。多くの場合、各部署がWEBサイトに期待していることが、一度も同じ紙の上に並んだことがないだけです。今日は、他部署とWEBの目標をすり合わせる進め方を、一人でも回せる小さな手順に分けて、一緒に整理していきましょう。
結論:他部署とWEBの目標をすり合わせるときは、次の3つの順番で進めると、ぶつかりにくくなります。
1. 聞く:営業・広報・採用など関係する部署に、「WEBに期待していること」をひとつずつ聞く
2. 並べる:聞いた内容を1枚の表にまとめ、「何を数えるか」と「優先順位」を上司と決める
3. 見せる:月に一度、その表に沿った数字を各部署に共有し、ずれてきたら置き直す
大事なのは、WEB担当がどちらかの味方をして決めないこと。判断の物差しを先に共有しておくと、依頼がぶつかったときに「どちらが正しいか」ではなく「今期の優先はどれか」で話せるようになります。
何が起きているのか:目標がずれる3つの理由
他部署との間でWEBの話がこじれるとき、たいていは次のどれかが起きています。
- 部署ごとに「WEBの成功」の意味が違う:営業にとっては問い合わせや商談の件数、広報にとっては会社の印象やニュースの伝わり方、採用担当にとっては応募数。どれも正しい目標ですが、同じサイトの中で場所や優先順位を取り合うことになります。
- 期待が口頭で届き、どこにも残っていない:廊下や会議の終わりに「これもお願い」と言われる依頼は、その場では小さく見えます。でも積み重なると、WEB担当の頭の中だけに矛盾した期待がたまっていきます。
- WEB担当に「決める権限」がないまま、調整だけが任されている:優先順位を決めるのは本来、上司や経営側の役割です。そこが曖昧なまま現場で調整しようとすると、WEB担当が板挟みの矢面に立つことになります。
どれも、誰かの性格や努力の問題ではありません。期待を並べて見る場所がない、という仕組みの問題です。だから、仕組みを少しだけ作れば楽になります。
他部署とWEBの目標をすり合わせる3つの手順

一度に全部そろえなくて大丈夫です。まずは1の「聞く」だけでも、ずいぶん景色が変わります。
1. 聞く:部署ごとに「WEBに期待していること」をひとつずつ
関係する部署の担当者に、5〜10分ほど時間をもらって、次の3つだけを聞いてみましょう。会議を開かなくても、席に寄って立ち話でも構いません。
- WEBサイトに、いちばん期待していることは何ですか(例:問い合わせ、会社の信頼感、採用の応募)
- それが叶ったかどうかは、何を見れば分かりますか(例:問い合わせ件数、展示会での「サイト見ました」の声、応募数)
- 今期、とくに力を入れたい時期やテーマはありますか(例:展示会、新商品の発表、採用の繁忙期)
ポイントは、「何をしてほしいか(作業)」ではなく「何が叶えばうれしいか(目的)」を聞くことです。「バナーを出して」という依頼の奥には、「展示会の来場者に問い合わせてほしい」という目的があります。目的がわかれば、バナー以外の方法も一緒に考えられます。
2. 並べる:1枚の表にして、上司と優先順位を決める
聞いた内容を、1枚の表にまとめます。手書きでも表計算ソフトでも構いません。
| 部署 | WEBに期待していること | 何を数えるか | 力を入れたい時期 |
|---|---|---|---|
| 営業 | 展示会後の問い合わせを増やしたい | 問い合わせ件数(フォーム・電話) | 11月の展示会前後 |
| 広報 | 会社の信頼感を伝えたい | 会社概要・ニュースページの閲覧 | 新商品の発表時期 |
| 採用 | 応募を増やしたい | 採用ページからの応募数 | 来春に向けた募集期間 |
表ができたら、上司に見せて優先順位を決めてもらいます。ここがいちばん大切なところです。WEB担当がひとりで「今期は営業を優先します」と決めると、ほかの部署から見れば「WEB担当が勝手に決めた」に見えてしまいます。上司に「今期の優先順位をつけていただけますか」と頼み、決めた人の名前と一緒に共有するほうが、あなたも周りも納得しやすくなります。
数え方が決まったら、それぞれの数字をどこで見るかもメモしておきましょう。問い合わせ件数をGA4で数えたいときは問い合わせCVをGA4で計測する設定、電話の問い合わせは電話の問い合わせを数える基本が参考になります。
3. 見せる:月に一度、表に沿った数字を共有する
最後に、表に書いた「何を数えるか」の数字を、月に一度、各部署に共有します。長いレポートは要りません。表の右側に「今月の数字」を1列足すだけで十分です。
- 数字が伸びた部署には「おかげさまで」とひと言添える
- 伸びなかった部署には「次はここを試してみます」と、次の一手を添える
- 時期が近づいたテーマ(展示会など)は、1か月前に「準備はこう考えています」と先に声をかける
毎月の数字のまとめ方は月次レポートを15分で作るの型がそのまま使えます。共有を続けていると、各部署が「WEBに何を頼めば、何が返ってくるか」を少しずつ分かってくれるようになります。
具体例:展示会バナーとトップの雰囲気、どちらを取るか
社員80人ほどの機械部品メーカーで、一人でWEBを担当している方の例です。冒頭のように、営業からは展示会の大きなバナーを、広報からはトップの雰囲気を守ってほしいと言われ、どちらにも返事ができずにいました。
そこで、まず営業と広報の担当者に5分ずつ時間をもらい、目的を聞きました。
- 営業:展示会の来場者に、後日サイトから問い合わせてほしい。「どこに書いてあるか分からない」と言われたくない
- 広報:リニューアルしたトップの写真と会社の印象を、展示会の時期こそ見てほしい
並べてみると、ふたりの目的はぶつかっていなかったのです。営業がほしいのは「大きなバナー」そのものではなく、「来場者が迷わず問い合わせにたどり着けること」でした。
上司にも表を見せたうえで、次のように落ち着きました。
- トップの写真はそのままにして、メイン画像のすぐ下に、展示会のお知らせを1行の帯で入れる(広報の意向を守る)
- その帯から、展示会の出展製品をまとめたページへつなぎ、そのページに問い合わせボタンを置く(営業の目的を叶える)
- 展示会が終わった翌週に帯を外す日を、最初から決めておく
展示会のあと、営業から「来場者からの問い合わせ、いつもより話が早かった」と声がかかり、広報からも「トップがすっきりしたままで助かった」と言われたそうです。WEB担当がしたことは、目的を聞いて、並べて、上司に決めてもらっただけでした。期間限定のバナーやお知らせの出し方・外し方は、キャンペーンバナーの掲載期限を管理するにまとめています。
あなたへの影響
- 依頼がぶつかったときに、「どちらが正しいか」ではなく「今期の優先はどれか」で話せるようになる。
- 優先順位を決めたのが上司だと共有されるので、WEB担当がひとりで板挟みの矢面に立たずに済む。
- 各部署の「本当の目的」が分かるので、言われた作業そのままより、効く方法を提案できる。
- 毎月の共有を通じて、WEB担当の仕事が他部署から見えるようになり、相談されやすくなる。
明日やること
- WEBへの依頼が多い部署をひとつだけ選ぶ(営業・広報・採用など)。
- その部署の担当者に5分ほど時間をもらい、「WEBにいちばん期待していることは何ですか」と聞く。
- 聞いた内容を、表の1行目として書き出しておく(ほかの部署は、空欄のままで構いません)。
チェックリスト
まずは最初の1つができれば十分です。残りは、社内の状況に合わせてできるところから進めてみてください。
まずはこれだけ(必須)
- 1つの部署に「WEBにいちばん期待していること」を聞いて、書き留めた
できれば(推奨)
- 依頼の「作業」ではなく、その奥の「目的」を聞けた
- 関係する部署の期待を、1枚の表に並べた
- 部署ごとに「何を数えるか」を決めた
- 優先順位を、上司に決めてもらった
慣れてきたら/必要があれば(任意・なければスキップ可)
- 力を入れたい時期(展示会・発表・募集期間など)を表に書き込んだ
- 月に一度、表に沿った数字を各部署に共有している
- 時期が近いテーマは、1か月前に準備の相談をしている
- 期の変わり目に、表そのものを見直している

部署ごとに期待が違うのは、会社がそれだけたくさんのことをWEBに託している、ということでもあります。その期待を受け止めて、どうすれば全部が少しずつ叶うかを考えている——それは、WEB担当だからこそできる大切な仕事です。
板挟みでため息をついた日も、あなたはどちらの部署のことも大事に思っていたはずです。その気持ちを、今度は1枚の表にしてみましょう。明日、ひとつの部署に「WEBに期待していること」を聞くところから。それだけで、調整はもう始まっています。
※本記事は一般的な実務の考え方をまとめたものです。目標や優先順位の決め方は、会社の体制や決裁の流れによって異なります。社内のルールに合わせて調整してください。
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部署ごとの数字から問い合わせの見込みを立てたいときは、問い合わせ数 試算・逆算 計算機もどうぞ。「うちの会社だと、誰に聞けばいい?」と迷ったら、お問い合わせから気軽に声をかけてくださいね。一緒に考えていきましょう。