
問い合わせにつながるLPの構成|1枚で伝える順番の基本
「展示会でもらった名刺に、案内メールを送ることになりました。飛び先のページ、用意しておいて」 「来月から広告を出すので、専用のページを1枚作ってください」
——そう言われて、白紙のページを前に手が止まったことはありませんか。会社概要も、サービス紹介も、すでにサイトにはある。でも「1枚で完結するページ」となると、何をどこまで書けばいいのか、急に分からなくなります。
それは、あなたに構成力が足りないからではありません。ふだんの更新は「決まった枠に、決まった情報を入れる」仕事ですが、LP(ランディングページ)は枠そのものを自分で決める仕事だからです。慣れていなくて当たり前です。今日は、デザインや文章のうまさの前に決めておきたい「順番」の話を、一緒に整理していきましょう。凝ったLPを作る必要はありません。
結論:LPで最初に決めるのは、デザインではなく書く順番です。順番は「つかむ → 納得 → 行動」の3段、細かく分けると6つのブロックになります。①ファーストビュー(誰の何が解決するか+問い合わせボタン)→②「それ、うちのことだ」と思える困りごと→③何をしてくれるサービスなのか→④信じてよい理由(実績・会社の情報・よくある質問)→⑤お金と進め方の不安をなくす→⑥問い合わせフォーム。まずは①〜⑥の見出しだけを紙に書き出す。ここさえ決まっていれば、文章もデザインも、制作会社への依頼も、ぐっと楽になります。
何が起きているのか
「LPを作ったのに問い合わせが来ない」とき、原因はたいてい文章の巧拙ではなく、順番と、読み手が置き去りになる場所にあります。現場でよく起きるのは、このあたりです。
- 会社の話から始まっている。「弊社は1975年の創業以来……」で始まると、来た人は自分に関係があるか判断できないまま、スクロールをやめてしまいます。広告や案内メールから来た人は、まだあなたの会社を知らない状態でたどり着いています。
- サービスの説明が「機能の一覧」になっている。何ができるかは書いてあるけれど、「それで自分の何が楽になるのか」が書いていない。読む人は自分の状況に翻訳する手間を負わされます。
- 信じてよい理由が置かれていない。実績も、会社の所在地も、担当者の顔も出てこないページに、社名や電話番号を書き込むのは、思っている以上に勇気がいります。
- 料金と進め方が分からない。「まずはお問い合わせください」だけだと、読む人の頭には「電話がかかってくるのでは」「いくらか分からないのに聞けない」という迷いが残ります。BtoBほど、ここで止まります。
- 問い合わせ口がページの最後に1つだけ。読み終わる前に納得した人が、そこで動けません。逆に、フォームの入力項目が10個以上あって、開いた瞬間に閉じられていることもあります(→問い合わせフォームの離脱を減らす項目の見直し)。
- スマートフォンで見ると崩れている・重い。広告やメールからの流入は、多くがスマートフォンです。PCで整えて満足してしまうと、いちばん見られている画面が確認されないまま公開されます。
もうひとつ、あとから困るのが測っていないことです。どの案内メールから来た人が問い合わせたのか分からないと、次に改善する場所も、上司に説明する材料も残りません。
裏を返せば、順番を決めて、迷う場所を先回りしてつぶし、来た経路を測る。この3つで、LPは「ただの1枚」から「働くページ」に変わります。
手順を小さく分ける

いきなり書き始めず、見出しの並びから決めます。今日は手順1と2だけでも十分に前進です。
- 「誰に、何を、どうしてほしいページか」を1行で書く:たとえば「展示会で名刺交換した製造業の総務の方に、うちの点検サービスを知ってもらって、無料相談に申し込んでほしい」。この1行が決まらないうちは、どんな文章を書いても焦点が合いません。ゴールは1つに絞ります(資料請求も、電話も、来場予約も全部、は欲張りです)。
- 6つの見出しを紙に縦に書く:①ファーストビュー ②困りごと ③解決できること ④信じてよい理由 ⑤お金と進め方 ⑥問い合わせ。この6つを紙に書いて、それぞれに入れる中身を箇条書きで2〜3個ずつ足していきます。この紙が、そのまま制作会社への依頼書になります(→依頼書・要件メモの残し方)。
- ①ファーストビューを、3点セットで作る:(a)誰の何が解決するかの見出し/(b)それを補う1〜2行/(c)問い合わせボタン。この3つが、スマートフォンで最初に見える範囲に収まっているかを確認します。「業界No.1」「必ず解決」のような言い切りは、根拠が示せないなら使わないほうが安全です(後述)。
- ②困りごとを、読む人の言葉で3つ書く:「点検の記録が紙で散らばっていて、監査前にいつも探し回っている」のように、社内で実際に聞いた言葉をそのまま書きます。ここは営業担当に「お客さんが最初に言う不満、3つ教えてください」と聞くのがいちばん早いです。
- ③解決できることを「機能→どう楽になるか」の順で書く:「クラウドで記録を一元管理(機能)→監査前に探し回る時間がなくなります(どう楽になるか)」。3つまでに絞ります。全部書くと、何も伝わりません。
- ④信じてよい理由を、出せるものだけ並べる:導入社数・業種・事例、会社の所在地と電話番号、担当者の写真と一言、よくある質問(→FAQページの作り方)。実績がまだ少なくても大丈夫です。会社の情報がきちんと出ているだけでも、印象はかなり変わります。
- ⑤お金と進め方の不安を先回りする:料金の目安(「月額〇万円〜」「規模により変動、まずは概算をお出しします」でも十分)、問い合わせ後の流れ(例:フォーム送信 → 1営業日以内にメールで返信 → オンラインで30分ヒアリング)、そして「しつこい営業はいたしません」の一言。ここが、問い合わせボタンを押す最後のひと押しになります。
- ⑥フォームは項目を絞り、ボタンはページ内に2〜3か所置く:必須は会社名・お名前・メールアドレス・お問い合わせ内容くらいで足ります。ボタンは①の直後、④のあと、⑥の直前に。文言は「送信」より「無料で相談してみる」のほうが、押した先が想像できます(→CTAボタンの文言・位置)。
- 公開前に、スマートフォンの実機で上から下まで一度読む:これだけで、崩れ・改行の不自然さ・ボタンの押しにくさが見つかります(→スマホ表示の崩れの確認手順、公開前チェックリスト)。
- 測る準備をしてから公開する:案内メールや広告のリンクにUTMパラメータを付け、問い合わせをGA4のキーイベントで数える設定をしておきます。送信後のお礼ページと自動返信も、公開前に必ずテスト送信で確認します。
具体例
ある製造業向けサービスの、A4用紙1枚に書いた構成メモの例です。文章の完成形ではなく、この粗さで十分というサンプルとして見てください。
【このページの目的】
展示会で名刺交換した工場の総務・管理部門の方に、点検記録のクラウド化を知ってもらい、
無料オンライン相談に申し込んでもらう(ゴールは相談申込ひとつだけ)
① ファーストビュー
見出し:紙の点検記録を、探さなくていい形に
補足 :現場のタブレット入力から監査資料の出力まで。〇〇業向けの点検記録クラウド
ボタン:無料で30分相談してみる
② 困りごと(お客さんの言葉で3つ)
・監査の前になると、去年の点検表を倉庫まで探しに行っている
・現場が書いた紙を事務所で打ち直していて、二度手間になっている
・担当者が代わると、どこに何があるか分からなくなる
③ 解決できること(機能 → どう楽になるか、3つまで)
・現場のタブレットで入力 → 事務所での打ち直しがなくなります
・記録を日付と設備で検索 → 監査前に探し回る時間がなくなります
・様式のまま出力 → いつもの書式で提出できます
④ 信じてよい理由
・導入〇〇社(食品・金属加工・物流)/導入事例2本へのリンク
・会社の所在地・電話番号・設立年
・担当者の写真と一言(「導入の相談は私が伺います」)
・よくある質問5つ(既存の様式は使える? 現場が使えるか不安 など)
⑤ お金と進め方
・料金の目安:初期費用〇万円+月額〇万円〜(拠点数により変動、概算をお出しします)
・流れ:フォーム送信 → 1営業日以内にメール返信 → オンラインで30分 → お見積り
・「しつこい営業はいたしません。資料だけご覧になりたい方もどうぞ」
⑥ 問い合わせ
・項目:会社名/お名前/メールアドレス/ご相談内容(任意:電話番号)
・ボタン文言:無料で30分相談してみる
・送信後:お礼ページ+自動返信メール(返信の目安を明記)
【測定】メール用リンクに utm_source=mail&utm_medium=email&utm_campaign=tenjikai2608
【公開後】2週間後に、流入数と問い合わせ数を確認する
このメモがあれば、自分で作る場合はそのまま書き始められますし、制作会社に頼む場合も「あとはデザインをお願いします」と渡せます。依頼のやり取りが1往復減るだけでも、この15分は元が取れます。
補足:「業界No.1」「〇〇で1位」のような表記を使うときは、いつ・誰が・どんな範囲で調べた結果なのかという根拠と、その出典の明記が必要です(景品表示法の優良誤認にあたるおそれがあるため)。調査データがないなら、無理に最上級を使わず「〇〇社に導入いただいています」のような事実で書くほうが、結果として信用されます。同じく「必ず」「絶対に」といった効果の言い切りも避けておくのが安全です。
補足:フォームで受け取る情報の扱いも、公開前に一度確認しておきましょう。利用目的の明示とプライバシーポリシーへのリンクは、フォームのすぐ近くに置いておくのが親切です(→フォームの個人情報の基本)。
あなたへの影響
- 白紙の恐怖がなくなります。「何を書こう」ではなく「①〜⑥の枠を埋める」作業になるので、着手までの時間が短くなります。次のLPからは、この6つをコピーして使い回せます。
- 制作会社とのやり取りが減ります。構成が決まった状態で渡せると、上がってきたデザインに対して「ここは④の実績が抜けています」と、感覚ではなく位置で指摘できるようになります。
- 社内の合意が取りやすくなります。営業部から「もっと機能を書いて」と言われたときも、「③は3つまでにして、残りは④のよくある質問に入れましょう」と、構成を根拠に相談できます。
- 問い合わせが来なかったときに、次の一手が見えます。どこまで読まれて、どこで離れたのかを見れば、直す場所は①か⑤か、と当たりがつきます(→問い合わせが来ない原因の切り分け)。
- そして何より、「うちのサービスは、誰のどんな困りごとを解決しているのか」が言葉になります。これはLPだけでなく、サービス紹介ページにも、営業資料にも、そのまま効いてきます。
明日やること
- A4用紙を1枚出して、①〜⑥の見出しだけを縦に書く。3分で終わります。
- ①の見出しの案を1行だけ書く。「誰の・何が・どうなるか」が入っていれば合格です。うまい言い回しは、あとで直せます。
- 営業担当か、お客さまと話す機会がある人に、「お客さんが最初に言う困りごと、3つ教えてください」と聞く。②がその場で埋まります。
3つ合わせて、20分ほどです。デザインの相談は、この紙ができてからで大丈夫です。
チェックリスト
まずは最初の1つだけで合格です。残りは慣れてきたら・時間があるときに、で大丈夫。できないことに×は付けなくて構いません。
まずはこれだけ(必須)
- このページの目的(誰に・何を・どうしてほしいか)を1行で書いた
できれば(推奨)
- ①〜⑥の見出しを紙に書き出した
- ファーストビューに「見出し・補足の1〜2行・問い合わせボタン」の3点がそろっている
- お客さまの困りごとを、社内で聞いた言葉で3つ書いた
- 解決できることを「機能 → どう楽になるか」の形で3つまでに絞った
- 会社の所在地・電話番号など、基本の会社情報をページ内に載せた
慣れてきたら/時間があれば(任意・なければスキップ可)
- 料金の目安(幅でもよい)と、問い合わせ後の流れを書いた
- 「しつこい営業はいたしません」など、押す前の不安をやわらげる一言を入れた
- フォームの必須項目を4つ前後まで絞った
- 問い合わせボタンをページ内に2〜3か所置いた
- 最上級表現(No.1・必ず等)を使っていないか、使うなら根拠と出典を書いたか確認した
- プライバシーポリシーへのリンクをフォームの近くに置いた
- スマートフォンの実機で、上から下まで一度読んで確認した
- テスト送信して、お礼ページと自動返信メールが届くことを確認した
- 案内メール・広告のリンクにUTMパラメータを付けた
- 問い合わせをGA4のキーイベントとして数える設定をした
- 公開2週間後に数字を見る予定を、カレンダーに入れた

LPは、うまい言葉をひねり出す仕事のように見えて、実は社内にすでにある答えを、読む人の順番に並べ直す仕事です。お客さまが最初に口にする困りごとも、よく聞かれる質問も、断られる理由も、営業の人はもう知っています。それを聞いて、紙に並べる。あなたがやっているのは、そういう地味で確かな作業です。
最初の1枚は、たぶん完璧にはなりません。それでいいと思います。公開してから「⑤の料金のところで止まっているみたいだ」と気づいて直せるのが、自社でページを持っている強みです。外に出してから育てられる。むしろ、そこからが本番です。
今日、紙に6つの見出しを書けたなら、明日の「何から手をつけよう」は、もう半分片づいています。