
GA4の件数とフォーム受信数が合わない|ずれの原因を照合する手順
月末。月次報告の表に数字を写していたら、手が止まりました。 GA4の問い合わせ(キーイベント)は46件。でも、フォームの管理画面に届いているのは52件。 「どっちが本当なんだろう。設定、どこか間違えたかな……」
ここは、GA4で問い合わせを計測しはじめた人の多くが、一度はつまずくところです。そして先にお伝えしておくと、数字が合わないこと自体は、設定ミスの証拠ではありません。GA4とフォームは、そもそも「数えているもの」が少し違うからです。
今日は、ずれの原因を照合して、「この差はこういう理由です」と説明できるところまで、一緒に順番に整理していきましょう。
結論:GA4の件数とフォーム受信数のずれは、次の3ステップで照合できます。
① そろえる:期間・タイムゾーン・数える対象(迷惑メールやテスト送信を含むか)を、両方でそろえる。
② 並べる:両方の件数を「日別」に並べ、ずれが出ている日を見つける。
③ 仕分ける:ずれた日ごとに、原因を「GA4が多い理由」「フォームが多い理由」に仕分けて、直せるものだけ直す。
ぴったり一致させることが目的ではありません。差の理由を説明できる状態になれば十分です。
なぜGA4とフォームの件数はずれるのか
まず、それぞれが何を数えているかを確認しておきます。
- フォーム受信数:フォームから送信され、サーバーに届いた(または通知メールが届いた)件数。迷惑な自動送信や、社内のテスト送信も含まれます。
- GA4の件数:ブラウザ上でGA4のタグが動き、「送信完了」のイベントが記録された件数。サンクスページの表示などを目印にしていることが多いです。
つまり、フォームは「サーバーで受け取った数」、GA4は「ブラウザで観測できた数」。この違いから、ずれは主に次のような理由で起きます。
| ずれの向き | よくある原因 | どう見分けるか |
|---|---|---|
| フォームのほうが多い | 迷惑な自動送信(多くはGA4のタグが動かない) | フォーム側で中身を見ると、売り込みや意味のない文字列 |
| フォームのほうが多い | 広告ブロッカーやブラウザの追跡防止で、GA4が記録されない | 特定の日に偏らず、全体に少しずつ少ない |
| フォームのほうが多い | Cookieの同意バナーで「拒否」を選んだ人は記録されない(同意モードの設定による) | 同意バナーを入れた時期から差が広がっている |
| フォームのほうが多い | 送信後、サンクスページが表示される前に閉じた・通信が切れた | 特定のパターンはなく、少数 |
| GA4のほうが多い | サンクスページの再読み込み・戻る操作で、同じ人が2回数えられた | 同じ日の同じ時間帯に、GA4だけ件数がまとまって多い |
| GA4のほうが多い | タグの二重設置(直接埋め込みとGTMの両方など)で1回の送信が2回記録される | ほぼ毎回、GA4がフォームの約2倍 |
| GA4のほうが多い | ブックマークや検索からサンクスページに直接来た人も数えている | 問い合わせのない日にもGA4の件数がある |
| どちらにも起こる | 期間の区切りやタイムゾーンの違い、GA4のデータ反映待ち | 月末・月初の日だけずれる、直近1〜2日だけ少ない |
「フォームが多い」原因の多くは、GA4の仕組み上どうしても観測できない分です。逆に「GA4が多い」原因の多くは、設定や運用で減らせる分です。この違いを頭に置いておくと、どこを直すべきかが見えやすくなります。
件数のずれを照合する3ステップ

① そろえる:期間・タイムゾーン・数える対象を合わせる
比べる前に、土台をそろえます。ここがずれていると、どれだけ見比べても理由が見えてきません。
- 期間:たとえば「9月1日〜9月30日」のように、両方で同じ日付範囲にする。
- タイムゾーン:GA4のプロパティのタイムゾーン(「管理」→「プロパティの詳細」で確認できます)が「日本」になっているか。海外の時間のままだと、日付の境目が数時間ずれます。
- 反映待ち:GA4のデータは、レポートに反映されるまで時間がかかることがあります。照合は、対象期間が終わってから2〜3日あけて行うと安心です。
- 数える対象:フォーム側の件数から、迷惑な送信と社内のテスト送信を除いた数も出しておく。「全部の件数」と「実際のお客さまからの件数」の2つを持っておくと、あとの仕分けが楽になります。
フォームの件数は、フォームの管理画面や送信データの一覧、なければ通知メールの受信フォルダから数えます。WordPressのフォームプラグインなどでは、送信データを保存していない設定のこともあるので、その場合は通知メールを数えましょう。
② 並べる:両方の件数を「日別」に並べる
月の合計だけを比べても、「6件ずれている」ことしかわかりません。日別に並べると、ずれている日が浮かび上がります。
スプレッドシートに次の列を作ります。
| 日付 | フォーム受信(全件) | うち迷惑・テスト | フォーム受信(実数) | GA4の件数 | 差(GA4−実数) | メモ |
|---|
GA4の日別の件数は、「探索」の自由形式で、ディメンションに「日付」と「イベント名」、指標に「イベント数」(またはキーイベント)を入れると出せます。問い合わせのイベント名で絞り込めば、日ごとの件数が並びます。探索の作り方に不安があれば、GA4の探索レポートの基本も参考にしてください。
並べたら、「差」の列が0ではない日に色をつけます。全部の日を調べなくて大丈夫です。差が大きい日から3日分だけ見れば、傾向はたいてい見えてきます。
③ 仕分ける:ずれた日の原因を「直せるもの」「直せないもの」に分ける
色をつけた日ごとに、上の表の「よくある原因」と照らし合わせて、メモ欄に理由を書いていきます。そのうえで、原因を2つに仕分けます。
直せるもの(主にGA4のほうが多い原因)
- 社内のテスト送信がGA4に入っている → 社内のアクセスを除外する設定を入れる(GA4で社内アクセスを除外する設定)。
- 再読み込みで二重に数えている → イベントの条件に「直前のページが問い合わせページ(page_referrer に /contact/ を含む)」を加える。キーイベントのカウント方法を「セッションごとに1回」に変える方法もあります(「管理」→「キーイベント」で設定。画面の表記は変わることがあります)。
- タグが二重に入っている → サイトに直接書かれたGA4のタグと、GTM経由のタグが両方ないか、制作会社に確認してもらう。
- 迷惑な送信が多い → フォームの迷惑対策を見直す(問い合わせフォームのスパム対策)。
直せない(説明できればいい)もの(主にフォームのほうが多い原因)
- 広告ブロッカーやブラウザの追跡防止で記録されない分
- Cookieの同意バナーで計測を拒否した人の分
- サンクスページの表示前に離れた人の分
こちらは、GA4の仕組み上、ゼロにはできません。だからこそ、問い合わせの「本当の件数」は、フォーム側の実数を正とするのがおすすめです。GA4は「どのページ・どの流入から問い合わせが来ているか」という傾向を見る道具、と役割を分けて考えると、気持ちがぐっと楽になります。
もし逆に、フォームには届いていないのにGA4だけ件数があるときは、通知メールが届いていない可能性もあります。その場合は問い合わせフォームが届かないときの送信テストもあわせて確認してみてください。
具体例:9月の「52件」と「46件」を照合してみたら
冒頭の例で、実際に照合してみます。ある会社の9月の数字です。
| 項目 | 件数 |
|---|---|
| フォーム受信(全件) | 52件 |
| うち迷惑な自動送信 | 9件 |
| うち社内のテスト送信 | 3件 |
| フォーム受信(お客さまからの実数) | 40件 |
| GA4の問い合わせ件数 | 46件 |
52件から迷惑9件とテスト3件を引くと、実数は40件(52−9−3=40)。GA4は46件なので、今度はGA4のほうが6件多いことになります。
そこで日別に並べると、差が大きかったのは次の日でした。
- 9月8日:フォーム実数1件に対して、GA4は6件。時刻を見ると数分の間にまとまっていて、同じ人がサンクスページを何度か再読み込みしたらしい → 重複5件
- 9月19日・20日:フォームの記録は社内テストだけで実数0件なのに、GA4は計5件。サイト改修の確認で何度も送信していた日 → テスト3件+再読み込み2件(社内のアクセス除外が未設定だった)
- ほかの日:全体に、GA4のほうが少しずつ少ない日が散らばっている
整理すると、GA4の46件の中身はこうなります。
| GA4の46件の内訳 | 件数 |
|---|---|
| お客さまの問い合わせで、GA4に記録された分 | 36件 |
| 社内のテスト送信 | 3件 |
| 再読み込みによる重複(9月8日に5件、9月19日・20日に2件) | 7件 |
| 合計 | 46件 |
36+3+7=46件。お客さまからの実数40件のうち、GA4で観測できたのは36件で、残りの4件(40−36=4、実数の1割)は広告ブロッカーや同意バナーなどで記録されなかった分、と考えられます。
この会社では、社内アクセスの除外と、イベント条件への「直前のページ」の追加をしました。翌月からは、GA4の件数が実数より少し少ない程度で安定し、報告にはこう書けるようになりました。
問い合わせ件数(フォーム実数):40件。GA4での計測は36件で、ブラウザの設定などにより記録されない分が1割ほどあります。流入元の分析にはGA4の数字を使っています。
「合わない」が「説明できる」に変わっただけで、報告の不安はずいぶん小さくなります。
照合しておくと、何が変わるか
- 報告の数字に迷わなくなる:「件数はフォーム、傾向はGA4」と決めておけば、毎月どちらを書くか悩まずに済みます。
- 上司や社内に説明しやすくなる:「なぜ数字が違うの?」と聞かれても、内訳つきで答えられます。
- 計測の不具合に早く気づける:ずれの幅がいつもと大きく変わった月は、タグが外れた・フォームを差し替えた、などのサインです。
- 改善の判断がぶれにくくなる:重複が減ると、GA4で「どのページが問い合わせにつながっているか」を見たときの精度も上がります。
数字が合わないことに気づけたのは、ちゃんと両方の数字を見ているからです。その時点で、あなたの計測はもう一歩前に進んでいます。
明日やること
- GA4のプロパティのタイムゾーンが「日本」になっているかを確認する
- 先月分のフォーム受信の件数を、「全件」と「迷惑・テストを除いた実数」の2つで数える
- スプレッドシートに日別の照合表(日付・フォーム全件・うち迷惑テスト・実数・GA4・差・メモ)を作る
- GA4の探索で、問い合わせイベントの日別件数を出して表に写す
- 差が大きい日を3日だけ選んで、原因をメモする
チェックリスト
そろえる
- フォームとGA4で、比べる期間(日付範囲)をそろえた
- GA4のプロパティのタイムゾーンを確認した
- 対象期間が終わってから2〜3日あけて照合した
- フォームの件数を「全件」と「実数(迷惑・テストを除く)」の2つで出した
並べる
- 両方の件数を日別に並べた
- 差が0ではない日に印をつけた
- 差が大きい日から3日分を選んだ
仕分ける
- ずれた日の理由をメモ欄に書いた
- 社内テストの除外・再読み込み対策・タグの二重設置など、直せるものを1つ直した
- 直せない分(ブロッカー・同意拒否など)は、報告で一言説明する形にした
- 問い合わせ件数は「フォーム実数を正」、傾向は「GA4」と役割を決めた
全部を一度に埋めなくて大丈夫です。今日は「そろえる」の4つだけでも、照合の半分は終わっています。
計測の数字は、どうしても少しずつずれるものです。大切なのは、ぴったり合わせることではなく、ずれの理由を知っていること。まずは明日、先月の数字を日別に並べるところから始めてみましょう。

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本記事は一般的な実務情報です。具体例の数字は説明のための一例で、ずれの幅や原因はサイトの構成・フォームの仕組み・同意バナーの設定などによって異なります。GA4などのツールの画面・機能・名称は更新されることがあります。最終的な設定や判断は、各サービスの最新の公式情報でご確認ください。