リニューアル前の自社サイトのページ一覧と、新しいサイトの構成メモを机の上で見比べている一人の企業のWEB担当者

サイトリニューアルで検索順位を落とさない|URL移行の段取り

リニューアルの公開日が決まりました。

デザインもきれいになって、スマホでも見やすくなって、社内の評判も上々。制作会社との打ち合わせも順調です。そんなある日、同業の知り合いから何気なく言われます。

「うちもリニューアルしたんだけどさ、あのあと検索から半年くらい消えてたよ」

急に、背中が冷たくなる。

社長には「新しいサイトになれば問い合わせも増えます」と説明してあります。それなのに公開した瞬間にアクセスが半分になったら——想像しただけで、胃のあたりが重くなりますよね。

でも、安心してください。リニューアル後に順位が落ちるケースの多くは、デザインの良し悪しではなく、古いページと新しいページの「つなぎ方」でつまずいています。そしてこれは、専門知識よりも、担当者の几帳面さで防げる部分が大きいところです。

結論:リニューアルで検索順位を守る作業は、次の4つだけです。
①公開前に、いまあるページのURLを全部書き出す
②「旧ページ → 新ページ」の対応表を1枚作る(1対1で。全部トップに送らない)
③公開直後に、301リダイレクト(恒久的な転送)が効いているか自分で確かめる
④Search Consoleにサイトマップを出し直し、2〜3か月は数字を見守る

難しいのは③の設定ですが、そこは制作会社の仕事です。あなたがやるべきは①と②。そして、これは社内にいるあなたにしかできません。

何が起きているのか

検索エンジンは「住所」でページを覚えている

私たちは「会社概要のページ」と内容で覚えていますが、検索エンジンはページをURL(住所)で覚えています。

たとえば、これまで example.co.jp/company.html という住所にあった会社概要のページ。「株式会社〇〇 会社概要」で検索したときに上のほうに出ていたのは、この住所が評価されていたからです。

リニューアルで、このページが example.co.jp/about/ に引っ越したとします。中身は同じ、むしろ読みやすくなっている。でも検索エンジンから見ると、こうなります。

引き継ぎの案内がなければ、これまでの評価は新しい住所に届きません。引っ越しの転居届を出していない状態です。

だから「転送」でつなぐ

そこで使うのがリダイレクト(転送)です。古い住所に来た人と検索エンジンを、新しい住所へ自動で送り届ける仕組みのこと。

転送にはいくつか種類がありますが、リニューアルのようにもう元には戻らない引っ越しでは、「301リダイレクト」=恒久的な転送を使うのが基本です(一時的な転送は302)。301で正しくつないでおくと、これまでの評価は時間をかけて新しいURLへ引き継がれていきます。

転送そのものの仕組みはURLの付け方と301リダイレクトの基本に詳しくまとめてあります。ここでは、リニューアルという「サイトまるごとの引っ越し」で、担当者が何をどう段取るかに絞って進めます。

順位が落ちる原因は、たいてい地味

「リニューアルで順位が落ちた」と聞くと、何か高度な失敗があったように感じます。でも、実際に多いのは驚くほど地味な理由です。

どれも、誰かの怠慢というより「確認する人が決まっていなかった」ために起きます。制作会社は新しいサイトを作るプロですが、旧サイトのどのページが会社にとって大事かは知りません。そこを知っているのは、あなただけです。

手順を小さく分ける

公開日から逆算して、4つに分けます。全部を一日でやろうとしなくて大丈夫です。

①【公開の1か月前】いまあるURLを全部書き出す

まず、旧サイトに何ページあるのかを確かめます。「だいたい50ページくらいかな」ではなく、実際の一覧を作ります。

集め方は、次を組み合わせるのが確実です。ひとつだけだと必ず漏れます。

集める場所分かること
旧サイトのXMLサイトマップ自分たちが「ある」と思っているページ
Search Consoleの「ページ」レポートGoogleが実際に認識しているページ
GA4の「ページとスクリーン」レポート実際に人が見に来ているページ
CMSの管理画面(固定ページ・投稿の一覧)下書きも含めた全体像

とくに大事なのがGA4の一覧です。ここには、社内で誰も存在を覚えていないのにアクセスがあるページが、しばしば混じっています。数年前のキャンペーンページ、古いPDFの案内ページ、初代サイトの名残。「これ、まだ人が来てたんだ」という発見は、この段階でしかできません。

期間は、過去1年で見ておくと季節性のあるページも拾えます。

現実的な話をすると、ページ数が数百を超えるサイトでは手作業での洗い出しはかなり大変です。その場合は「サイト内のURLを一覧で吸い出せますか」と制作会社に相談してください。専用のツールを持っていることが多く、頼めば出してもらえます。自分で全部やらなくていい、という判断も段取りのうちです。

②【公開の3週間前】旧ページと新ページの対応表を作る

ここが、この記事でいちばん伝えたいところです。

旧ページ1つに対して、新ページを1つ決める。この対応を、表計算ソフトで1枚にまとめます。作るのは3列だけ。

旧ページのURL新ページのURLメモ
/company.html/about/会社概要。社名で検索されて来る
/service/print.html/service/printing/主力サービス。流入が多い
/campaign2023.html/service/printing/終了企画。近い内容へ寄せる
古いサイトのページと新しいサイトのページを一つずつ線でつないだ、URL移行の対応表を表す図
大事なのは「1つの旧ページに、1つの新ページ」。行き先の決まっていない線を残さないことです

この表を作るときに、迷いやすい点が3つあります。

迷い1:新サイトになくなるページは、どうする?

内容がいちばん近いページへ送ります。印刷サービスの古い個別ページなら、新しい印刷サービスのページへ。「関係あるページへ送る」が原則です。

やめておきたいのが、行き先に困ったページを全部トップページに送ってしまうこと。これは楽なのですが、Googleは「探していたページと関係ない場所に送られた」と判断して、転送を無かったことのように扱う場合があります(ソフト404と呼ばれる状態です)。受け皿がトップページばかりの対応表は、作り直しのサインです。

どうしても行き先がない、内容としても役割を終えたページは、無理に転送せずそのまま消すという判断もあります。転送は「引き継ぎたい評価があるページ」に使うもの、と考えると整理しやすくなります。

迷い2:全部のページを丁寧にやる時間がない

正直な話、100ページ以上あるサイトで全部を吟味するのは大変です。優先順位をつけましょう。

  1. アクセスの多い上位20ページ(GA4で分かります)
  2. 問い合わせにつながっている経路のページ
  3. 名刺・パンフレット・広告にURLを載せてしまったページ
  4. 他社サイトからリンクされているページ

とくに3番目は見落としがちです。印刷物に載ったURLは、こちらの都合で消せません。紙に印刷された住所は、5年後にも誰かが打ち込みます。

迷い3:URLはどこまで変えるべき?

いちばん確実なのは、変えなくていいURLは変えないことです。「この機会に全部きれいにしましょう」と提案されることもありますが、URLを整えることで得られるものより、移行の手間とリスクのほうが大きい場合もあります。

「今回、URLが変わるページはどれですか」——この質問を制作会社に投げておくと、対応表の作業量が最初に見えます。

③【公開の1週間前〜公開直後】転送が効いているか自分で確かめる

設定作業そのものは、制作会社にお願いします。渡すのは、②で作った対応表です。伝え方は、これで十分です。

「新旧のURL対応表をお送りします。301リダイレクトでお願いできますでしょうか。公開後、こちらでも主要ページの転送を確認したいので、確認できるようになるタイミングを教えてください」

そして公開当日。ここからは、自分の目で見ます。特別なツールは要りません。

  1. 対応表の旧URLをブラウザのアドレス欄に打ち込む(上位20ページ分だけでも十分)
  2. 新しいページが表示されるかを見る。エラー画面や、関係ないトップページに飛んでいないか
  3. スマホでも、主要な数ページを同じように試す
  4. 「サイト名 URL」ではなく、印刷物に載っている古いURLも忘れずに試す

ここで見つかる抜けは、公開当日に言えば、その日のうちに直ります。1か月後に気づくのとは、重さがまったく違います。

そして、公開直後に必ず確認したい落とし穴があります。

テスト環境の「検索避け」設定を、本番に持ち込んでいないか。

制作中のサイトは、完成前に検索結果へ出てしまわないよう、検索エンジンに見せない設定(noindexやrobots.txtでの制限)をかけて作ります。この設定を外し忘れたまま公開してしまう——これは、リニューアルで最も起きやすく、そして最も影響が大きい事故です。

WordPressなら「設定 → 表示設定」の中に、検索エンジンでの表示を制限するチェック項目があります。ここにチェックが入ったままになっていないか、公開当日に自分の目で見る。これだけで防げます。詳しい仕組みはnoindex・robots.txtで検索への表示を制御するにまとめました。

「そんな基本的なこと、プロが忘れるはずない」と思うかもしれません。でも、公開当日は誰もが慌ただしいものです。確認する人がもう一人いることに、意味があります。

④【公開後1週間〜3か月】検索エンジンに知らせて、見守る

公開が済んだら、Googleに「新しくなりました」と伝えます。

公開後すぐ(1週間以内)にやること

最後の確認は、意外と大事です。301リダイレクトは、Googleが新しいURLを完全に理解するまで残しておく必要があります。少なくとも1年は維持するのが目安とされています。サーバーを解約したり設定を消したりすると、そこで転送は止まります。契約更新のタイミングで消えてしまわないよう、社内の年間予定に書き込んでおくと安心です(サイト運用の年間スケジュールに足しておくと忘れません)。

その後、2〜3か月かけて見ること

ここで、心の準備をひとつ。

移行直後に数字が少し揺れるのは、珍しいことではありません。Googleが新しいURLを認識し直すまでには時間がかかります。数週間から、規模によっては2〜3か月。1週間で結論を出さないことが、この時期のいちばんの技術です。

数字の動きを見るときは、検索順位が落ちたときの切り分け手順の考え方が役に立ちます。落ちたページを1つずつ見るのではなく、「全体か、一部か」「転送は効いているか」から順に外していきます。

具体例:ある会社の移行

社員40人の製造業。10年ぶりのリニューアルで、120ページのサイトを80ページに整理しました。WEB担当は総務兼務のひとり。

1か月前。GA4で過去1年のページ一覧を出したところ、担当者の知らないページが12ページ出てきました。そのうちの1つが、5年前の展示会の案内ページ。月に30件ほどアクセスがあり、しかも業界団体のサイトからリンクされていました。

放っておけば、リニューアルと同時に消えていたページです。担当者は対応表に、行き先として「展示会・イベント情報」の新ページを書き込みました。

3週間前。制作会社に対応表を渡すとき、120行のうち、行き先を決められない行が8つありました。全部トップに送りたい誘惑に駆られましたが、内容を読み返して、5つは近いサービスページへ、3つは「役割を終えたので転送しない」と決めました。

公開当日。上位20ページの旧URLを、順番にブラウザへ打ち込みます。18ページは問題なし。ところが2ページが、エラー画面になりました。制作会社に連絡すると「対応表の書き方でスラッシュが1つ抜けていました」とのこと。その日の午後に直りました。

さらに、念のため管理画面の表示設定を確認したところ、検索避けのチェックが入ったままでした。すぐに外して、事なきを得ています。

1か月後。表示回数は前年比で15%ほど下がっていました。焦る気持ちを抑えて、Search Consoleを見ると、新しいURLが順に登録されていっている最中でした。

3か月後。表示回数は前年比で戻り、問い合わせは月2件から3件に増えていました。

派手な出来事は何も起きていません。地味な確認を、順番にやっただけです。でも、あの展示会ページを見つけていなかったら、業界団体からのリンクは切れていました。

あなたへの影響

この段取りを通すと、変わることが3つあります。

1つ目は、公開日の怖さが減ることです。「何か起きるかもしれない」という漠然とした不安が、「この20ページを確認する」という具体的な作業に変わります。不安は、やることが決まると小さくなります。

2つ目は、制作会社との関係です。対応表を自分から作って渡す担当者は、制作側から見てとても仕事がしやすい相手です。「うちのサイトのどこが大事か」を分かっているのは社内の人だけなので、その情報が早く届くほど、良い移行になります。

3つ目は、社内での説明のしやすさです。「移行直後は数字が揺れることがあります。3か月後に前年と比べて判断します」——これを公開前に伝えておけると、1か月後に「アクセス減ってない?」と聞かれたときに、慌てずに済みます。事後の言い訳ではなく、事前の予告になるからです。

明日やること

公開日がまだ先でも、今日から動けることがあります。30分で終わります。

  1. GA4を開いて、「レポート → エンゲージメント → ページとスクリーン」を表示する(5分)
  2. 期間を過去1年に変えて、上位50ページを表示する(3分)
  3. その一覧をそのまま表計算ソフトに貼り付ける(2分)
  4. 右に「新ページのURL」「メモ」の列を足して、対応表の土台を作る(5分)
  5. 一覧を眺めて、「これ、何のページだっけ」というものに印をつける(10分)
  6. 制作会社に「今回URLが変わるページはどれですか」と一通メールを送る(5分)

まだリニューアルの予定がない方も、3の一覧を年に一度取っておくと、いざというとき驚くほど楽になります。1年後の自分への申し送りです。

今日のチェックリスト

最低ライン(ここだけでも移行の事故はかなり減ります)

余裕があれば

全部にチェックが入らなくて大丈夫です。上の6つが済んでいれば、大きな事故はほとんど防げています。

締めに

リニューアルは、本来うれしい仕事のはずです。何年も「古いままで恥ずかしいな」と思っていたサイトが、やっと新しくなる。

それなのに、公開日が近づくほど不安が増えていく。誰も教えてくれないことが多すぎるからです。制作会社は新しいサイトの話をしてくれますが、古いサイトをどう見送るかは、あまり話題になりません。

でも、今日ここまで読んだあなたは、もう分かっています。

やることは、表を1枚作って、公開日にURLを20個打ち込むこと。それだけです。高度な知識も、有料ツールも要りません。要るのは、自社サイトの中で何が大事かを知っていること。それは、もう持っています。

そして、もし何か抜けが見つかっても、たいていは後から直せます。転送の追加も、サイトマップの再送信も、あとからできます。取り返しがつかない失敗は、思っているよりずっと少ないのです。

リニューアル公開後のアクセス状況を確認して、無事に移行できたことに安心してひと息ついている企業のWEB担当者
数字が戻るまでには時間がかかります。待てることも、立派な実務です

古いサイトを、ちゃんと見送ってあげる。それは、これまで会社を支えてきたページへの、地味だけど確かな仕事です。今日、一覧を1枚出せたなら、その移行はもう半分うまくいっています。

※本記事は一般的な実務の考え方をまとめたものです。リダイレクトの設定方法はサーバー・CMSの環境によって異なり、検索エンジンの仕様や管理画面の表示も更新されることがあります。実際の設定・判断は、Google 検索セントラルなどの公式ドキュメントの最新情報と、契約している制作会社・サーバー会社の案内をご確認ください。

よければ、こちらも

公開の直前には自社サイト更新・公開前チェックリストを横に置いておくと安心です。「対応表の行き先に迷っている」「うちの場合はどうすれば」というときは、お問い合わせから気軽に声をかけてくださいね。一緒に考えていきましょう。

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