
サイトリニューアルの予算を社内で通す説明の組み立て方
「そろそろ、うちのサイトを作り直したい」——そう感じていても、いざ社内で予算の話をしようとすると、言葉に詰まってしまう。「見た目が古いから」だけでは、上司や社長に「で、いくらかかって、何が良くなるの?」と返されて終わってしまう。稟議の紙を前に、どこから書けばいいのか固まってしまう——そんな経験、ありませんか。
その手が止まるのは、あなたの説明が下手だからではありません。リニューアルは「感覚」で語ると通りにくく、「順番」で語ると通りやすくなるだけなんです。今日は、予算を社内で通すための説明を、決まった順番に沿って一緒に組み立てていきましょう。派手なプレゼン資料はいりません。
結論:稟議で伝える順番は「①いま困っていること(事実)→ ②放置したときの影響 → ③リニューアルで変わること → ④費用と内訳 → ⑤効果の見方」の5つです。
大事なのは金額の大きさより、「なぜ今、いくらで、何が良くなるのか」が上から順につながっていること。この5つを埋めるだけで、説明はぐっと通りやすくなります。
何が起きているのか
リニューアルの予算が通りにくいのは、多くの場合、判断する人(上司・社長)が「払う理由」を受け取れていないからです。決裁する側は、あなたほどサイトの中身を見ていません。だから「古い」「使いにくい」と言われても、それが会社にとってどれくらい困ることなのか、金額に見合うのかが、うまく像を結ばないのです。
ここで起きがちなのが、担当者は「デザインの新しさ」を語り、決裁者は「費用対効果」を知りたい、というすれ違いです。あなたが悪いわけでも、上司が理解不足なわけでもありません。ただ、見ている場所が違うだけ。この差を埋めるのが、上の5つの順番です。
順番に沿って書くと、「困りごと → その影響 → 解決 → 費用 → 効果」という、判断する人がそのまま追える流れになります。これは、あなたの主観ではなく、事実から始まる説明です。だから通りやすい。逆に言えば、順番さえ守れば、文章がうまくなくても伝わります。
手順を小さく分ける

一度に完璧な資料を作ろうとせず、次の5つを上から順に一言ずつ埋めてみます。最初はメモ書きで十分です。
- いま困っていること(事実で書く):「古い」ではなく、事実で。たとえば「スマホで見ると崩れる」「問い合わせフォームが送信しづらい」「更新が特定の担当しかできない」。主観の形容詞を、具体的な事実に置き換えるのがコツです。
- 放置したときの影響:その困りごとが続くと何が起きるか。「スマホからの問い合わせを取りこぼしている可能性がある」「更新に時間がかかり、他の仕事を圧迫している」など。煽らず、わかっている範囲で控えめに書きます。
- リニューアルで変わること:直すと何が良くなるか。「スマホで見やすくなる」「自分たちで更新できる」「問い合わせまでの導線が短くなる」。困りごと①と一対一で対応させると、話がぶれません。
- 費用と内訳:総額だけでなく、「制作費」「保守・運用費(毎月/毎年)」を分けて書きます。相見積もりを取っていれば、複数社の幅も添えます。ここで金額の根拠が見えると、一気に信頼されます。
- 効果の見方(測り方):「やってみて、どうやって良し悪しを判断するか」。たとえば「問い合わせ件数」「スマホからの離脱」を前後で比べる、と決めておきます。断定した売上予測は書かない。「この数字で確かめます」で十分です。
まずは①「いま困っていること」を、事実の言葉で3つ書き出せれば、今日はそれで大きな一歩です。残りは後日でも構いません。
具体例
たとえば、こんな一枚にまとまります。難しい言葉はひとつも要りません。
- 困りごと:スマホで見ると一部が崩れ、問い合わせフォームも入力しづらい。更新は外注頼みで、都度費用と時間がかかっている。
- 影響:訪問者の多くがスマホなので、見づらさで離れている可能性がある。小さな更新のたびに外注コストが発生している。
- 変わること:スマホで正しく表示され、フォームの入力が減って送信しやすくなる。簡単な更新は社内でできるようになる。
- 費用:制作費は3社見積もりで◯◯万〜◯◯万円。保守は月◯万円。現在の外注更新費と比べると、年間では近い水準に収まる見込み。
- 効果の見方:公開の前後3か月で「問い合わせ件数」「スマホからの離脱」を比べ、改善を確認する。
ポイントは、すべてが事実か、確認できる数字で書かれていること。「新しくてカッコよくなる」ではなく、「何が困っていて、いくらで、どう確かめるか」。この形なら、判断する人も判断しやすくなります。
金額を書くときの注意:制作費の相場やサービスの料金は、時期や依頼内容で変わります。「必ずこの金額」と断定せず、複数社の見積もりの幅で示すのが誠実で、かつ通りやすい書き方です。見積書の見方に迷ったら、内訳の項目が具体的か(「デザイン一式」だけになっていないか)を確認しておくと安心です。
あなたへの影響
- 説明が「順番」に乗るので、プレゼンが得意でなくても稟議を組み立てられる。
- 事実と数字から書くため、「感覚で言っている」と受け取られにくくなる。
- 効果の見方を先に決めておくと、公開後に「やって良かったか」を自分で説明できる。
明日やること
- いま困っていることを、「古い」などの形容詞を使わず、事実の言葉で3つ書き出す。
- その3つが続くと何が起きるかを、煽らずわかる範囲で一言ずつ添える。
- 制作会社2〜3社に、制作費と保守費を分けた概算見積もりを依頼する準備をする。
チェックリスト
まずは上の3つが書けていれば十分です。全部そろわなくても、順番に埋めていけば大丈夫。できていない項目に×を付ける必要はありません。
まずはこれだけ(必須)
- 困りごとを「事実の言葉」で書けている(形容詞だけになっていない)
- その困りごとが続いたときの影響を書けている
できれば(推奨)
- リニューアルで変わることを、困りごとと一対一で対応させた
- 費用を「制作費」と「保守・運用費」に分けて書いた
- 効果をどの数字で確かめるかを決めた
慣れてきたら/余裕があれば(任意・なければスキップ可)
- 相見積もりを取り、金額を「幅」で示した
- 断定した売上予測を書いていないか見直した
- 現状の外注費など、今かかっている費用とも比べた

予算を通す説明は、話術の勝負ではありません。困りごとから順に、事実で組み立てていく作業です。 今日、いま困っていることを3つ書き出せたなら、あなたはもう、稟議の一番大事な部分を作れています。完璧な資料を一度で仕上げようとしなくて大丈夫。順番に沿って、一行ずつ埋めていきましょう。
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