
制作会社とのやり取りをチャットに集約|連絡が散らばらない3つの決めごと
上司から「採用ページのあの写真、差し替えの件どうなった?」と聞かれた。たしか制作会社に頼んだはず。メールを検索しても出てこない。チャットをさかのぼると、別の話題の途中に「あ、それと写真の件ですが」と一言だけ。返事はあったのか、なかったのか。電話で話した気もする……。探しているうちに、15分たっていた。そんな経験はありませんか。
それは、あなたが整理下手だからではありません。制作会社とのやり取りは、メール・チャット・電話・打ち合わせと、もともと散らばりやすいものです。しかも案件が重なるほど、話題がひとつの流れに混ざっていきます。道具を増やすより、「どこで・どう話すか」を少しだけ決めておくほうが、ずっと効きます。
結論:制作会社とのやり取りは、次の3つの決めごとで散らばらなくなります。①日々の連絡の場所を1つに決める(チャットなら案件ごとに1つのグループ) → ②1件1スレッドで話し、最初の投稿に「何の件か」を書く → ③決まったことは流さず、要件メモに転記して残す。
あわせて、見積もり・契約・請求のような正式なものはメールや書面のままにしておく。チャットは「日々の相談の場所」、決まったことは「残す場所」と分けるのがコツです。
何が起きているのか:連絡が散らばる3つの理由
やり取りが見つからなくなるとき、たいてい次のどれかが起きています。
- 連絡の場所が決まっていない:急ぎは電話、細かい修正はチャット、正式なものはメール、ついでの話は打ち合わせ。どれも自然な選び方ですが、あとから一本の線でたどれなくなります。
- 話題が混ざる:「トップのバナーの件」の流れの途中に「それと、採用ページの写真も」と別の話が入る。返事がどちらへのものか分からなくなり、片方が置き去りになります。
- 決まったことが流れていく:チャットは会話の場所なので、新しい投稿がどんどん上に積もります。「では、それでお願いします」と決まった一言も、1週間もすれば埋もれてしまいます。
ここで大事なのは、チャットに集約すれば全部解決、ではないということ。チャットは気軽に話せるぶん、決まったことが流れやすい道具でもあります。「話す場所」と「残す場所」を分けて考えると、チャットの良さを生かしたまま、探さなくて済むようになります。
連絡の置き場所は「チャット・メール・要件メモ」の3つに分ける

まずは、やり取りの種類ごとに置き場所を決めます。完璧に分けなくて大丈夫です。おおまかな線が引けていれば十分です。
| 置き場所 | 置くもの | 理由 |
|---|---|---|
| チャット | 日々の相談・確認・修正の依頼・進み具合の共有 | 早く、気軽にやり取りできる |
| メール(または書面) | 見積もり・発注・契約・請求・納品の連絡 | 社内の承認や経理とつながり、記録として残りやすい |
| 要件メモ | チャットやメールで「決まったこと」 | 流れていかず、あとから一目で確かめられる |
電話や打ち合わせで決めたことは、その日のうちにチャットへ「本日決まったこと」として書き込み、要件メモにも移しておきます。こうすると、口頭の話も同じ線の上に乗ってきます。要件メモの作り方は「言った言わない」を防ぐ|外注の依頼書・要件メモの残し方で詳しく紹介しています。
決めごと①:日々の連絡の場所を1つに決める
最初に、制作会社と「日々の連絡はここでしましょう」と決めます。チャットを使うなら、案件(または制作会社)ごとに1つのグループやチャンネルを作るのがおすすめです。
- ツールは、すでに使っているもので構いません。自社のチャットに制作会社をゲストとして招く形でも、制作会社がふだん使っているツールに入れてもらう形でも大丈夫。大事なのは道具の種類より、「この件の話はここ」と両者が知っていることです。
- メンバーを決める:こちら側は自分と、必要なら上司や関係部署の担当者を1人。制作会社側は窓口の担当者とディレクター。人数を増やしすぎると、誰が返事をするのか曖昧になります。
- 最初に一言、ルールを書いておく:「日々のご相談はこちらでお願いします。見積もり・請求はこれまでどおりメールでお送りください」と最初の投稿に書いておくと、相手も迷いません。
制作会社に「チャットでお願いします」と切り出すのは、少し気が引けるかもしれません。でも、制作会社にとっても、連絡の場所がはっきりしているのは助かることが多いものです。「こちらの見落としを減らしたくて」と添えれば、角は立ちません。
外部の人を招くときは、契約が終わったときや担当者が代わったときに、メンバーから外すことも忘れずに。アカウントの整理は制作会社に渡すID・パスワード|安全な共有のしかたと回収の手順もあわせてどうぞ。
決めごと②:1件1スレッドで話し、最初に「何の件か」を書く
場所が決まったら、次は話し方の型です。いちばん効くのは、1つの依頼や相談ごとに、スレッド(返信のまとまり)を分けることです。
新しい件を始めるときは、最初の投稿をこの型にします。
【件名】採用ページ:社員インタビューの写真差し替え
【やってほしいこと】写真3点を、添付の新しい写真に差し替え
【希望日】10月25日(金)までに公開
【確認する人】WEB担当(私)→ 人事部の〇〇さん
件名を角かっこで先頭に置くと、チャットの中を検索したときにも見つけやすくなります。そのあとのやり取りは、すべてこの投稿への返信として続けます。別の件を思い出したら、同じ流れに書き足さず、新しい投稿を立てる。これだけで「返事はどっちの件?」がなくなります。
修正の伝え方そのものに迷ったら、制作会社への修正依頼|一度で伝わるフィードバックの書き方も参考になります。
決めごと③:決まったことは流さず、要件メモに転記する
チャットで話がまとまったら、そのスレッドの最後に「決定」として一言まとめて、相手に確認をもらいます。
【決定】写真3点の差し替えは10月24日(木)にテスト環境へ反映、
人事部の確認後、10月25日(金)に公開。追加費用はなし。
この内容で進めてよろしいでしょうか。
相手から「承知しました」が返ってきたら、その内容を要件メモ(案件ごとの1つのファイル)に日付つきで転記します。チャットのピン留めやブックマークの機能があれば、あわせて使うと探しやすくなります。
転記まで必要?と思うかもしれません。でも、チャットはプランや設定によって、古いメッセージが見られなくなったり、担当者の退職でアカウントごと消えたりすることがあります。大事な決定だけは、チャットの外にも残しておくと安心です。特に、費用・納期・仕様の範囲に関わる決定は、メールでも一通送っておくと、社内の承認や経理とのやり取りもスムーズになります。追加費用になりやすい場面は「追加費用です」を減らす|見積もり前に確認したい5つの境界にまとめています。
具体例:「あの件どうなった?」が言えるようになったDさんの場合
社員120人ほどの部品メーカーで、広報と兼務でWEBを担当しているDさんのケースです(よくある状況をもとにした例です)。
- それまでの状態:制作会社とは、メールが中心で、急ぎは電話、細かい話は担当者個人とのチャット。ある月、採用ページの改修・製品ページの追加・お知らせの更新の3件が重なり、「製品ページの画像、どの版で確定したか」を確かめるのに、メールとチャットを30分さかのぼることになりました。
- やったこと:
- 制作会社に相談し、自社のチャットに制作会社の担当者2人をゲストとして招いた。「日々の相談はここ、見積もり・請求はメール」と最初に書いた。
- 進行中の3件を、それぞれ件名つきの投稿として立て直し、これまでの経緯を短く書いた。
- 決まったことは「【決定】」で書いて確認をもらい、案件ごとの要件メモに日付つきで転記するようにした。
- 月に一度の定例の前に、要件メモを見ながら「決まったこと・まだのこと」を確かめるようにした。
- 変わったこと:上司から「あの件どうなった?」と聞かれたとき、要件メモを開けば1分で答えられるようになりました。制作会社の担当者からも「どの件の話か迷わなくなった」と言ってもらえたそうです。
特別なツールを入れたわけではありません。場所を決めて、件ごとに分けて、決まったことを残す。いつものやり取りに、少しだけ型を足しただけです。
続けると、何が変わるか
- 探す時間が減る。「あの件」は、件名で検索するか、要件メモを開けば見つかります。
- 「言った言わない」が起きにくくなる。決定を書いて確認をもらう習慣が、お互いを守ってくれます。
- 頼み忘れ・返事の置き去りに気づける。1件1スレッドなので、止まっている件がひと目で分かります。
- 引き継ぎがしやすくなる。自分が休むときも、担当が代わるときも、チャットと要件メモを渡せば経緯が伝わります。担当交代のときは制作会社の担当者が交代したら|引き継ぎで確認しておく3つのことも役に立ちます。
明日やること
- 今、制作会社とどこで連絡を取っているかを書き出す(メール・チャット・電話など)。
- 制作会社に「日々の相談はここでお願いできますか」と一言相談し、場所を1つに決める。
- 進行中の案件を、件名つきの投稿として1件ずつ立てる。
- 案件ごとに要件メモのファイルを1つ作り、今わかっている「決まったこと」を書き写す。
全部を一度にやらなくて大丈夫です。今日は1の「書き出す」だけでも、どこで散らばっているかが見えてきます。
チェックリスト
まずはこの3つができていれば十分です。最低ラインはここに絞ります。
- 制作会社との日々の連絡の場所を、1つに決めている
- 新しい件は、件名をつけて別の投稿(スレッド)で始めている
- 決まったことを、チャットの外(要件メモなど)にも残している
残りは「余裕があれば」の任意項目です。当てはまらなければ、空欄のままで問題ありません。
- 見積もり・発注・契約・請求はメールや書面で受け取っている
- 電話や打ち合わせで決めたことを、その日のうちにチャットに書き込んでいる
- 決まったときは「【決定】」でまとめ、相手に確認をもらっている
- チャットのメンバーを、必要な人だけに絞っている
- 契約終了や担当交代のとき、外部のメンバーを外している

連絡が散らばるのは、それだけ多くの仕事を一人で受け止めてきた証拠です。誰のせいでもありません。話す場所を1つに決めて、件ごとに分けて、決まったことだけ残す。それだけで、「あの件どこだっけ」と探す時間は、次の仕事に使える時間に変わります。まずは、今の連絡先を書き出すところから始めてみましょう。
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