
制作会社への修正依頼|一度で伝わるフィードバックの書き方
「うーん、なんか違うんだよなあ」——制作会社から上がってきたデザインを見て、そう思う。でも、どこがどう違うのかを言葉にするのが難しくて、とりあえず「もう少し明るい感じで」と返す。数日後、直ってきたものを見て、また「思っていたのと違う」。こうして修正の往復が三回、四回と続き、気づけばお互いに少し疲れている。そんな経験、ありませんか。
その往復は、あなたの見る目が悪いからでも、制作会社の腕が悪いからでもありません。「思っていたのと違う」の多くは、"頭の中のイメージ"が、相手に伝わる言葉になりきる前に送られてしまうことで起きます。あなたには見えているゴールが、相手には見えていない。だから何度も探り合いになるのです。今日は、相手を責めずに、一度で伝わる修正依頼の書き方を一緒に整理していきましょう。難しい専門用語はいりません。
結論:修正依頼は、次の3点をセットで伝えると往復が減ります。①場所(どのページ・どの部分か)→ ②今どうなっているかとどうしたいか(現状→希望を並べる)→ ③なぜそうしたいか(目的・理由)。この3つがそろうと、相手はあなたの頭の中のゴールを共有できます。
全部を完璧に書かなくて大丈夫。まずは「ふわっとした感想」を「場所+どうしたいか」に言い換えるところから始めましょう。
何が起きているのか
修正の往復が増えるのは、どちらかの努力が足りないからではありません。「感想」だけが伝わって、「指示」になっていないことが、いちばんの原因です。
「もう少し明るく」「なんか固い感じ」「もっといい感じに」——こうした言葉は、あなたの頭の中では意味がはっきりしています。でも、制作会社にとっては解釈の幅が広すぎるのです。「明るく」が、色のことなのか、写真の雰囲気のことなのか、文章のトーンのことなのか、受け取る人によって変わってしまう。だから、良かれと思って直したものが、また少しずれる。これは、相手の理解力の問題ではなく、言葉に"幅"がありすぎるために起きるすれ違いです。
ここで大事なのは、修正依頼は「ダメ出し」ではなく「ゴールの共有」だという考え方です。あなたが伝えたいのは「これはダメ」ということではなく、「こうなっていてほしい」というゴールのはずです。だから、悪いところを指摘するより、どうなったら合格なのかを一緒に見せるほうが、相手も動きやすくなります。制作会社は、あなたを困らせたいわけではありません。ゴールが見えれば、その方向にちゃんと走ってくれます。
修正依頼の前段として、そもそも最初の依頼をどう伝えるかは制作会社への見積もり依頼で迷わないでも整理しています。入口が整っていると、修正の往復自体が減っていきます。
手順を小さく分ける

一度に完璧な指示書を作ろうとせず、ふわっとした感想を、次の3つに分けて書き足していきます。特別なツールはいりません。メールとスクリーンショットがあれば十分です。
- 場所を特定する(どこの話か):「トップページ」だけでなく「トップページの、いちばん上の大きな写真」まで絞ります。画面のスクリーンショットに丸をつけて添えると、言葉で説明する何倍も速く伝わります。「どこ」がずれると、その先の指示は全部むだになるので、ここをいちばん丁寧に。
- 現状とどうしたいかを並べる:「今こうなっている」→「こうしたい」と、ビフォーとアフターをセットで書きます。「文字が小さい」だけでなく「文字が小さいので、スマホで読める大きさまで大きくしたい」まで書くと、直す側が迷いません。
- なぜそうしたいかを一言添える:「高齢のお客様が多いので」「若い層に親しみを持ってほしいので」と、目的を一言足します。理由が分かると、制作会社は言葉どおりに直すだけでなく、もっと良い代案を出してくれることがあります。ここがプロに頼む価値の出るところです。
まずは「1」と「2」だけでも往復はぐっと減ります。スクリーンショットに丸をつけて、「今こう→こうしたい」を書く。慣れてきたら「理由」を足していけば大丈夫です。
具体例
たとえば、上がってきたトップページの第一印象が「なんか暗い」と感じたとします。そのまま「もう少し明るくしてください」と送ると、たいてい往復します。同じことを、こう書き換えてみます。
修正前の伝え方(往復しやすい)
トップの雰囲気、もう少し明るい感じにできますか?
修正後の伝え方(一度で伝わりやすい)
場所:トップページ、いちばん上のメイン写真エリア(添付①の赤丸)。
現状→希望:今は背景がグレーで、全体が少し暗く見えます。背景を白に近い明るい色にして、写真も明るめのものに差し替えたいです。
理由:初めて訪れた方に「清潔で入りやすい会社」という印象を持ってほしいためです。イメージが近い他社の例として、添付②のような明るさが理想です。
同じ「明るくしたい」でも、下の書き方なら、制作会社は迷わずゴールに向かえます。指示が具体的になるほど、相手を縛るのではなく、むしろ相手が力を発揮しやすくなるのがポイントです。参考にしたいサイトの例(キャプチャや URL)を一緒に送るのも、言葉のずれを埋める強力な方法です。
ふわっとした言葉を「伝わる言葉」に言い換える早見表
つい使ってしまう感想の言葉を、少しだけ具体的にするだけで伝わり方が変わります。
| つい言ってしまう言葉 | 何がずれやすいか | 言い換えの一例 |
|---|---|---|
| もう少し明るく | 色・写真・文章どれか不明 | 背景色を白系に/写真を明るいものに |
| なんか固い | 見た目か文章か不明 | 文章の語尾をやわらかく(です・ます) |
| いい感じに | ゴールが共有できない | 添付の参考サイトのような雰囲気に |
| もっと目立たせて | 大きさ・色・位置が不明 | ボタンの色を目立つ色に、位置を上に |
| バランスを見て | 判断を相手に丸投げ | 余白を広げて、要素を3つに絞りたい |
とくに「いい感じに」は、いちばん往復を生みやすい言葉です。困ったときは、言葉で説明しようとせず、「こうなっていてほしい」に近い実例(他社サイトや過去の自社ページ)を見せるのが、いちばん速い近道です。
あなたへの影響
- 修正の往復が減るので、公開までの時間が短くなり、自分の他の仕事に戻れる。
- 「思っていたのと違う」でお互いが消耗することが減り、制作会社との関係がぎすぎすしない。
- 指示が記録に残るので、あとで「そこは伝えたはず」というすれ違いも防げる。
- 理由まで伝わると、相手からより良い代案が出てきて、結果として仕上がりが良くなる。
明日やること
- 次に修正を頼むとき、画面のスクリーンショットに丸をつけて「どこの話か」を目で分かるようにする。
- 感想(「暗い」「固い」)を、「今こう→こうしたい」の形に書き換える。
- できれば「なぜそうしたいか」を一言添えて、ゴールの意図まで共有する。
- 言葉で伝えづらいときは、イメージに近い参考サイトやページを一緒に送る。
チェックリスト
全部を一度にやる必要はありません。まずは「場所を絞る」と「今こう→こうしたい」の2つだけで、往復は大きく減ります。残りは慣れてきたら足していけば大丈夫です。
これだけは(最低ライン)
- どのページ・どの部分かを、具体的に特定した(できればスクショに丸)
- 「今こうなっている→こうしたい」をセットで書いた
できれば(往復が減る順)
- 「なぜそうしたいか」の目的・理由を一言添えた
- 「明るく」「いい感じ」などのふわっとした言葉を具体化した
- イメージに近い参考サイト・ページの例を添えた
- 複数の修正は、箇条書きで1件ずつ分けて書いた
やりとりを整えるときだけ
- 修正の優先度(必ず直す/できれば)を分けて伝えた
- 費用や納期に関わりそうな修正は、着手前に相談する一文を入れた
- 決まったことは、あとからたどれる形で1か所に残した

よくある不安に、先に答えておきます
- 「細かく指示すると、相手の自由を奪って失礼にならない?」:ゴール(どうなっていてほしいか・なぜか)を伝えるのは、やり方まで縛ることとは違います。むしろ理由が分かるほど、制作会社は自分の引き出しから良い案を出しやすくなります。「こうしたい理由は◯◯です。良い方法があればお任せします」と添えれば、失礼にはなりません。
- 「自分もどう直せば正解か分かっていないときは?」:無理に正解を言い切らなくて大丈夫です。「今のここが気になっている。理由は◯◯。どう直すのが良さそうか、案をいくつか見せてもらえますか」と、迷いごと相談すればいいのです。プロの視点を借りるのも立派な依頼の仕方です。
- 「もう何度も往復してしまって、今さら言い出しづらい」:今からで大丈夫です。「うまく伝えられていなくてすみません。ゴールを整理し直しました」と、場所・現状・希望・理由をまとめて一度送れば、そこから先はぐっと楽になります。過去の往復を気にする必要はありません。
締めに
修正依頼は、相手の仕事を否定するダメ出しではありません。 「どこを・今どうで・どうしたくて・なぜか」。この順で伝えるだけで、あなたの頭の中のゴールが、そのまま相手に届くようになります。
うまく言葉にできない日があっても大丈夫。スクリーンショットに丸をつけて、「今こう→こうしたい」と書いてみる——そう思えたなら、あなたはもう、往復の少ない気持ちのいい仕事の進め方に近づいています。伝え方の小さな工夫は、あなたと制作会社の両方を、きっと楽にしてくれます。

よければ、こちらも
最初の依頼のたたき台づくりは制作会社への見積もり依頼で迷わない、「言った言わない」を防ぐ記録の残し方は外注の依頼書・要件メモの残し方、社内の各部署からの依頼のさばき方は各部署の更新依頼をさばく受付ルールの作り方もあわせて読むと、外注とのやりとり全体が整理しやすくなります。「これで伝わるかな」と迷ったら、お問い合わせからいつでも声をかけてくださいね。一緒に整理していきましょう。