いくつかのウェブサイトをノートパソコンで見比べながら、どれを制作会社に伝えればいいのか考え込んでいる企業のWEB担当者

参考サイトでデザインの希望を伝える|制作会社に伝わる集め方とメモ

「デザインの方向性の参考に、イメージに近いサイトがあれば送ってください」。 制作会社にそう言われて、気になっていたサイトのURLを10件ほど貼って送った。……そして2週間後、届いたデザイン案を開いて、思わず手が止まる。きれいだけど、なんだか違う。でも、どこが違うのか自分でもうまく言えない。

その「なんだか違う」は、あなたのセンスのせいでも、制作会社の腕のせいでもありません。多くの場合、参考サイトの「どこが良いと思ったのか」が、相手に届いていないだけです。同じサイトを見ても、こちらは「色合い」が好きで、制作会社は「写真の大きさ」を参考にした。それだけで、上がってくるデザインはずれてしまいます。今日は、参考サイトを集めてデザインの希望を伝えるコツを、一人でも回せる形で一緒に整えていきましょう。

結論:参考サイトでデザインの希望を伝えるときは、次の3つを意識すると、ずれがぐっと減ります。
1. しぼる:参考サイトは3〜5件まで。たくさん送るほど、希望はぼやけます
2. 言葉を添える:1件ずつ「どこが良いのか(色・写真・文字・配置など)」をひと言書く
3. 苦手も伝える:「これは避けたい」という例も1件あると、方向がはっきりします

大事なのは、URLだけを送らないこと。「このサイトの、この部分」まで伝われば、参考サイトは強い共通言語になります。全部をきれいに整えなくて大丈夫です。まずは手元の参考サイト1件に、「どこが良いか」のひと言を書いてみましょう。

何が起きているのか:参考サイトがあっても伝わらない理由

参考サイトは、言葉にしにくいデザインの希望を伝えるのに、とても便利な道具です。それでも「送ったのに伝わらない」ことが起きるのは、次のような理由からです。

どれも、誰かが悪いわけではありません。参考サイトという「絵」はあっても、「どこを見てほしいか」という説明がない状態です。説明は、1件ごとにひと言あれば十分です。

参考サイトの集め方と伝え方:4つの手順

参考サイトでデザインの希望を伝える流れを、集める・しぼる・言葉にする・伝えるの4つの場面に分けて、左から右へ矢印でつないだ概念図
参考サイトは「集める→しぼる→言葉にする→伝える」の順に整えると、デザインの希望がずれにくくなる

ここからは、参考サイトを「集める→しぼる→言葉にする→伝える」の4つの手順で整えていきます。どれも、デザインの専門知識がなくてもできることばかりです。

1. 集める:気になったサイトを、まずは気軽にためる

最初から完璧な1件を探す必要はありません。「いいな」と思ったサイトを、まずは気軽にためていきましょう。

ためるときは、URLと一緒にスクリーンショットも残しておくと安心です。サイトは更新されるので、あとで見たら気に入った部分がなくなっていた、ということもあります。競合サイトの見方は競合サイトの調べ方|自社の次の一手を見つける手順も参考になります。

2. しぼる:3〜5件に、方向をそろえる

ためたサイトの中から、制作会社に送るものを3〜5件にしぼります。しぼるときの目安は次のとおりです。

社内の確認は、デザイン案が上がってからではなく、この段階で一度しておくのがコツです。「これは上司も好き」「これは社長が苦手そう」が先に分かれば、あとで意見が割れにくくなります。

3. 言葉にする:1件ずつ「どこが良いか」を書く

しぼった参考サイトに、1件ずつ「どこが良いのか」をひと言添えます。ここがいちばん大事な手順です。言葉にしにくいときは、次の観点から選ぶと書きやすくなります。

観点ひと言の例
色「白が多く、アクセントの色が1色だけなのが好き」
写真・イラスト「社員の写真が大きく、人柄が伝わる」
文字「見出しが大きく、スマホでも読みやすい」
配置・余白「余白が広く、情報が詰まって見えない」
動き・使いやすさ「メニューが分かりやすく、迷わず問い合わせに進める」

逆に、「全体的にいい感じ」「おしゃれ」のような言葉だけだと、受け取る側は解釈に迷います。「どこが」を1つでも書ければ十分です。

あわせて、「これは避けたい」という例も1件あると、方向がぐっとはっきりします。「色が多くてにぎやかすぎる」「写真が暗い印象」など、苦手な理由も一緒に書いておきましょう。

4. 伝える:1枚のメモにまとめて渡す

最後に、参考サイトとひと言を1枚のメモにまとめて制作会社に渡します。チャットやメールにURLを1件ずつ貼るより、まとまった形で渡すほうが、制作会社の社内でも共有しやすくなります。

メモには、参考サイトのほかに、次の情報も添えておくと親切です。

これは、見積もりや依頼のときに渡すRFP(提案依頼書)や要件メモにも、そのまま入れられる内容です。依頼全体の伝え方は制作会社への見積もり依頼で迷わない|伝え方とRFPの作り方や「言った言わない」を防ぐ|外注の依頼書・要件メモの残し方にまとめています。

具体例:URL10件を、メモ1枚に置きかえた担当者

ある会社のWEB担当者は、コーポレートサイトのリニューアルで、最初は気になったサイトのURLを10件まとめて送っていました。上がってきたデザイン案は、きれいだけれど社内の反応はいまひとつ。そこで、2回目の打ち合わせの前に、次のようなメモを作り直しました。

デザインの参考(4件)
・Aサイト:白が多く、アクセントの色が1色だけ。すっきりした印象が好き
・Bサイト:社員の写真が大きく、人の温かさが伝わる。トップページのこの雰囲気に近づけたい
・Cサイト:見出しの文字が大きく、スマホでも読みやすい
・Dサイト(避けたい例):色が多く、動きも多い。にぎやかすぎて、当社の雰囲気とは違う

補足:取引先の担当者が見て「誠実で、相談しやすい会社」と感じてもらえるサイトにしたいです。ロゴの青は変えずに使います。

このメモを渡したあとの修正案では、「今回は方向がはっきりしたので、提案しやすかったです」と制作会社から言われたそうです。社内の確認も、メモを先に上司に見せていたので、大きな意見の食い違いなく進みました。

ここで一つ気をつけたいのが、参考サイトは「真似してほしいもの」ではなく「方向を伝えるもの」だという点です。デザインや写真、文章をそっくり同じにしてほしい、という頼み方はしないようにしましょう。他社のサイトの文章や画像には著作権があり、そのまま使うことはできません。「この雰囲気に近い方向で」「この部分の考え方を参考に」という伝え方なら、制作会社も安心して提案できます。素材の扱いはサイト制作の著作権と素材の使用範囲|契約で確認する5項目も参考にしてください。

あなたへの影響

明日やること

  1. 手元にある参考サイト(ブックマークやメールに貼ったURL)を見返し、いちばん気に入っている1件を選ぶ。
  2. その1件に、表の観点(色・写真・文字・配置・使いやすさ)から「どこが良いか」をひと言書く。
  3. 余裕があれば、ほかの候補も3〜5件にしぼり、上司に「方向はこれで合っていますか」と一度見てもらう。

チェックリスト

まずは最初の1つができれば合格です。残りは案件に合わせて、必要な所だけで大丈夫です。できないことに×は付けなくて構いません。

まずはこれだけ(必須)

できれば(推奨)

慣れてきたら/必要があれば(任意・なければスキップ可)

制作会社から届いたデザイン案をノートパソコンで開き、思っていたとおりの仕上がりにほっとしてほほえんでいる企業のWEB担当者
「どこが良いか」のひと言が、思い描いたデザインへの近道になる

デザインの希望をうまく言葉にできないのは、当たり前のことです。デザインの専門家ではないのですから。だからこそ参考サイトがあり、そこに「どこが良いか」のひと言を添えるだけで、制作会社とあなたの間に、同じ景色が見えるようになります。

「なんだか違う」と感じてきたこれまでも、自社のサイトを良くしたいと真剣に向き合ってきたからこその違和感です。次の依頼では、参考サイト1件にひと言を書くところから始めてみましょう。思い描いていたデザインに、きっと一歩近づけます。

※本記事は一般的な実務の考え方をまとめたものです。デザインの進め方や確認の範囲は、制作会社との契約内容や案件によって異なります。他社サイトの文章・画像・デザインには著作権などの権利があるため、参考にする際はそのまま使わず、方向性を伝える目的にとどめてください。

よければ、こちらも

参考サイトの選び方や伝え方に迷ったら、お問い合わせから気軽に声をかけてくださいね。一緒に考えていきましょう。

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