
制作会社を乗り換える前の準備|困らないための確認リスト
「今の制作会社、対応が遅いし、なんだか話も噛み合わない。そろそろ変えたいな」。 そう思いながらも、いざ乗り換えるとなると、何から手をつければいいのか分からず立ち止まってしまう——そんな経験はありませんか。ドメインやサーバーは今の会社が管理している。サイトのデータも向こうにある。「勝手に切り替えて、サイトが止まったらどうしよう」「解約でもめたくない」。考えるほど、動けなくなってしまいますよね。
その不安は、あなたが慎重すぎるからではありません。制作会社の乗り換えは、感情で決める前に「自社が何を握れているか」を確認するのが先で、そこさえ押さえれば、あわてず・もめず・サイトを止めずに移ることができます。今日は、乗り換えの前にやっておきたい準備を、一つずつ一緒に整理していきましょう。難しい交渉術はいりません。順番に確認していけば大丈夫です。
結論:乗り換えの成否は、切り替え作業そのものより「事前の棚卸し」で決まります。①乗り換えの目的をはっきりさせる → ②ドメイン・サーバー・データ・各種アカウントが「誰の名義・誰の管理」かを確認する → ③自社名義に取り戻せていない資産を確認する → ④現契約の解約条件(予告期間・違約金・データ引き渡し)を読む → ⑤次の会社に「移管が前提」と伝えて選ぶ → ⑥現サイトを止めない段取りで切り替える。
全部を今日やる必要はありません。まずは「ドメインとサーバーが誰の名義か」を確認するところから始めましょう。
何が起きているのか
乗り換えでつまずく原因の多くは、制作会社との相性ではありません。サイトを動かすための「鍵」を、自社ではなく制作会社が握ったままになっていることです。
ホームページは、いくつかの土台の上に成り立っています。ドメイン(サイトの住所)、サーバー(サイトの置き場所)、CMS(WordPressなどの管理画面)、そしてサイトのデータや画像。制作を丸ごとお願いしていると、これらの契約や管理者権限が制作会社の名義・管理下にあることが少なくありません。悪意があるわけではなく、「制作会社がまとめて管理したほうが楽だから」そうなっているだけのことも多いのです。
ただ、いざ乗り換えるとなると、この状態が壁になります。ドメインの管理権限が向こうにあれば、移管には相手の協力が必要です。サーバーが相手名義なら、契約を引き継ぐか引っ越すかを決めなければなりません。「今の会社ともめてから」ではなく、「もめる前に」自社の資産を確認しておく。これが、乗り換えで困らないための一番の勘どころです。
ここで整理しておきたいのが、「取り戻すべきもの(資産)」と「乗り換え先に引き継ぐもの(作業)」は分けて考えるということです。
- 取り戻すべきもの(資産・権限):ドメイン、サーバー契約、CMSの管理者権限、GA4・Search Consoleの管理権限、サイトのデータ一式。これは「誰の名義か」を確認し、自社が握れる状態にしておくものです。
- 引き継ぐもの(次への作業):次の会社に渡す現状の情報、依頼したい改善点、移行の段取り。これは新しい会社と一緒に進めるものです。
先に「資産」を確認しておくと、次の会社との話もスムーズになり、今の会社との解約も落ち着いて進められます。
手順を小さく分ける

一度に全部を進めようとせず、次の順番で一つずつ確認していきます。今の会社に連絡する前でも、社内で確認できるところから始められます。
- 乗り換えの目的を言葉にする:何が不満で、次に何を求めるのか。「対応が遅い」なら次は連絡の速さを、「更新のたびに費用がかさむ」なら更新の運用体制を重視する、というように。目的がはっきりすると、次の会社選びも解約の判断もぶれません。まずは箇条書きで十分です。
- サイトの土台が「誰の名義・誰の管理」かを確認する:ドメイン、サーバー、CMS(WordPress等)の管理者アカウント。これらが自社名義か、制作会社名義かを確認します。分からなければ、ドメインは登録情報の確認から、サーバーは請求書や契約書から手繰れます。ここが今日の最重要ポイントです。
- アクセス解析・各種アカウントの権限を確認する:GA4やSearch Console、独自メール、外部ツールの管理権限。制作会社のアカウントにひも付いていると、乗り換え後にデータが見られなくなることがあります。自社のアカウントにも管理者権限があるかを確認します。
- 現在の契約の「出口」を読む:解約の予告期間(何か月前に伝える必要があるか)、最低契約期間、途中解約の違約金、そして解約時のデータやドメインの引き渡しがどう定められているか。契約書の解約・終了に関する条項を、落ち着いて読んでおきます。数字は契約書の記載で確認するのが確実です。
- サイトの中身(データ)の在りかを確認する:WordPressなら本体・テーマ・画像・データベース、静的サイトならファイル一式。手元にバックアップがあるか、なければどうやって受け取るか。ここは納品時に受け取るべきデータ・アカウント一覧の考え方がそのまま使えます。
- 次の会社に「移管が前提」と伝えて選ぶ:新しい会社を探すときは、最初から「既存サイトの移管・引き継ぎを含めて」と伝えます。移管の経験が豊富な会社なら、段取りも安心です。依頼の伝え方は制作会社への見積もり依頼とRFPの作り方が参考になります。
- サイトを止めない段取りで切り替える:現行サイトを動かしたまま新環境を準備し、動作を確認してから切り替える。ドメインの向き先(DNS)を変えるタイミングや、切り替え後の表示確認まで、新しい会社と手順を決めておきます。
まずは「2」で、ドメインとサーバーの名義が確認できたら、今日はそれで大きな前進です。ここが分かるだけで、乗り換えの見通しがぐっと立てやすくなります。
具体例
たとえば、ある会社で「サイトの土台が誰の名義・管理か」を棚卸ししてみると、こんなふうに見えてくることがあります。ここで大事なのは、良し悪しを判定することではなく、現状をありのままに書き出すことです。
| 項目 | 現在の名義・管理 | 自社に権限があるか |
|------|------------------|--------------------|
| ドメイン | 制作会社が代理登録 | 管理画面にログインできない |
| サーバー | 制作会社名義の共用サーバー | 契約は把握、権限はなし |
| WordPress管理者 | 制作会社アカウントのみ | 自社の管理者アカウントなし |
| GA4・Search Console | 制作会社が設定・管理 | 閲覧のみ、管理者ではない |
| サイトデータ | 制作会社が保有 | 手元にバックアップなし |
こうして一覧にすると、「ドメインとWordPressの権限を先に取り戻したほうがよさそうだ」「データは受け取っておく必要がある」といった、次に何をすべきかの順番が自然と見えてきます。表が「できていない」ばかりでも、落ち込む必要はありません。これは現状の地図であって、通信簿ではないのです。地図さえあれば、あとは一つずつ埋めていけます。
そして、これらを取り戻すのに、必ずしも角を立てる必要はありません。「今後の運用体制を見直したいので、ドメインとサイトのデータについて、自社でも管理できる状態にしたい」——このように、乗り換えを前面に出さずとも、前向きな相談として切り出せます。多くの場合、依頼すれば対応してもらえるものです。
あなたへの影響
- 土台の名義が分かると、「サイトが止まる」「ドメインを失う」といった最悪の事態を避けながら乗り換えを進められる。
- 契約の解約条件を先に把握しておくと、予告期間や違約金でつまずかず、余裕を持って段取りできる。
- データと権限を手元に確保しておけば、次の会社との話が具体的に進み、見積もりの精度も上がる。
- 感情的なやりとりを避け、「事実の確認」として淡々と進められるので、今の会社とも険悪にならずに済む。
明日やること
- 乗り換えの目的を、箇条書きで3つほど書き出す(何が不満か・次に何を求めるか)。
- ドメインとサーバーが誰の名義かを、契約書・請求書・当時のメールから確認する。分からなければ「サイトのドメインとサーバーの契約名義を教えてください」と一通聞く。
- WordPress等の管理画面に、自社の管理者アカウントがあるかを確認する(なければ発行を依頼)。
- 現在の契約書を開き、解約の予告期間が書かれた箇所だけ、今日のうちに確認しておく。
チェックリスト
全部を一度にそろえる必要はありません。まずは「ドメイン・サーバーの名義」と「解約の予告期間」の2つが分かれば、乗り換えの土台は見えてきます。残りは順番に埋めていけば大丈夫です。
これだけは(最低ライン)
- ドメインとサーバーが「自社名義か・制作会社名義か」を確認した
- 現在の契約の解約予告期間(何か月前に伝えるか)を確認した
できれば(安心して移れる順)
- WordPress等の管理画面に、自社の管理者アカウントがあるか確認した
- GA4・Search Consoleの管理者権限が自社にもあるか確認した
- サイトのデータ(本体・画像・DB等)を受け取れる状態か確認した
- 途中解約の違約金・最低契約期間の有無を契約書で確認した
- 乗り換えの目的(不満点・求めるもの)を言葉にした
次の会社を選ぶときだけ
- 「既存サイトの移管を含めて」と伝えて見積もりを依頼した
- 移行の段取り(現サイトを止めない切り替え手順)を確認した
- 切り替え後の表示・動作の確認方法を決めた

よくある不安に、先に答えておきます
- 「乗り換えたいと言ったら、もめませんか?」:いきなり解約を切り出すより、まず「運用体制を見直したいので、ドメインやデータを自社でも管理できるようにしたい」と、事実の相談として伝えるのがおすすめです。多くの会社は、依頼すれば手続きに応じてくれます。感情の話ではなく、手続きの話として進めましょう。
- 「ドメインの管理権限が向こうにあると、取り戻せない?」:あきらめる必要はありません。ドメインの登録者が自社であれば、管理を自社や次の会社へ移す手続きが取れます。まずは登録情報がどうなっているかを確認するところからです。分からなければ、次の会社に相談すると移管の進め方を教えてもらえます。
- 「切り替えのときに、サイトが止まったりしませんか?」:現行サイトを動かしたまま新しい環境を準備し、表示を確認してから切り替えるのが基本の進め方です。移管の経験がある会社なら、止めない段取りを組んでくれます。切り替えのタイミングと確認方法を事前にすり合わせておけば、慌てずに済みます。
- 「今すぐ乗り換えなくてもいい気がしてきました」:それも一つの答えです。乗り換えは目的ではなく手段。棚卸しをした結果、「まずは今の会社に改善を相談してみよう」となるのも十分に良い選択です。大事なのは、自社の資産を把握したうえで落ち着いて選べることです。
締めに
制作会社の乗り換えは、勢いや我慢比べで進めるものではありません。 「ドメインとサーバーが、いま誰の名義か」。まずはそれを確かめるだけで、見えなかった道筋が少しずつ形になっていきます。
たとえ今日、表が「自社に権限なし」ばかりだったとしても、大丈夫です。それは失敗ではなく、これから取り戻していくための出発点。現状を知ったあなたは、もう受け身ではありません。一つずつ確認していけば、サイトはちゃんと、あなたの手のなかに戻ってきます。

よければ、こちらも
乗り換えの前後で役立つ記事をまとめておきます。データや権限を受け取る観点は納品時に受け取るべきデータ・アカウント一覧が、次の会社への伝え方は制作会社への見積もり依頼とRFPの作り方が参考になります。移った後の付き合い方には一度で伝わる修正依頼の書き方や保守契約の中身を確認するチェックポイントもあわせてどうぞ。「これで合っているかな」と迷ったら、お問い合わせからいつでも声をかけてくださいね。一緒に整理していきましょう。