
サイト運用マニュアルの作り方|「自分しか分からない」を減らす1冊
「このサイト、私が休んだら誰が更新するんだろう」。 ふとそう思ったこと、ありませんか。お知らせの差し替えも、WordPressのログインも、GA4の見方も、いつの間にか全部あなたの頭の中。便利に回っている一方で、「自分がいないと止まる」状態は、じわじわ肩に効いてきますよね。引き継ぎや異動の話が出るたびに、少し胸がざわつく。
でも、大丈夫です。それはあなたが仕事を抱え込みすぎたからではありません。一人で回すほど、手順が自然と頭の中だけに溜まっていく——ただそれだけのことです。だから、頭の中にあるものを1本ずつ外に出していけば、属人化はゆっくりほどけます。今日は、分厚い完成品ではなく「明日から使える最初の1枚」から始めるサイト運用マニュアルの作り方を、一緒に整理します。
結論:やることは3つです。①よくやる作業を10個ほど書き出す(差し替え・公開・バックアップなど)→ ②その中の1つを、初めての人でもたどれる手順に起こす → ③置き場所と更新ルールを決めて少しずつ増やす。完璧な1冊を一気に作らなくていい。「1作業=1枚」を積み重ねるだけで、サイトは“あなた以外でも触れる”状態に近づきます。
何が起きているのか
サイト運用が属人化するのは、能力の問題ではなく記録のタイミングがないからです。日々の更新は「覚えているうちにやってしまう」のが一番速い。だから手順を書き残す暇がないまま、経験だけが自分の中に積み上がっていきます。
- ログインURL・アカウント・手順が頭の中や個人のメモにしかなく、外から見えない
- 「たまにしかやらない作業」(年1回の証明書更新など)は、次にやるとき自分でも思い出せない
- 引き継ぎの直前になって慌ててまとめようとするが、量が多すぎて手がつかない
一人で担当していると、この状態でも普段は困りません。困るのは、休むとき・辞めるとき・急に別の人へ振るとき——つまり一番余裕がないタイミングです。逆に言えば、平常時に少しずつ手順を外へ出しておけば、その“いざ”のときの負担を、いまの自分から未来の自分(や後任)へ小分けにして渡しておけます。
手順を小さく分ける

- よくやる作業を書き出す
- まずは手順を書かず、作業名だけを10個ほど並べます。例:お知らせの差し替え/ブログ記事の公開/画像の差し替え/WordPressの更新/バックアップ/SSL証明書の更新/GA4で月次の数字を見る、など。
- 「毎月やる」「年1回だけ」を横に添えておくと、忘れやすい作業ほど先に書く判断がしやすくなります。全部を今日やろうとしなくて大丈夫です。
- その中の1つを手順にする
- 一番よくやる作業を1つ選び、初めての人がその通りにやれば完了できる粒度で書きます。「ログインする」ではなく「このURLを開く→この名前でログイン→左メニューの◯を押す」まで分解します。
- 迷いやすいところ(例:公開日の入れ方、画像の保存先)には一言メモを添える。スクリーンショットを1〜2枚貼れると、文章より伝わります。ここでアカウントやログイン情報そのものは本文に書かず、後述の安全な場所を指し示すだけにします。
- 置き場所を決めて、少しずつ増やす
- 1枚できたら、社内で誰もがたどり着ける場所(共有ドライブ、社内Wiki、Notionなど続けやすいもの)に置きます。個人PCのデスクトップは避けます。
- あとは作業をするたびに「ついでに1枚」。次に同じ作業をする人(未来の自分を含む)が読めれば十分です。完成を目指さず、更新し続ける前提で持ちます。
「1作業=1枚」に何を書くか
1枚のフォーマットを決めておくと、書くハードルがぐっと下がります。毎回同じ型で埋めるだけにしましょう。
- 作業名:何をする作業か(例:トップページのお知らせを差し替える)
- 頻度・きっかけ:毎月/依頼が来たら/年1回など
- 使うもの:どのツール・どの画面を使うか(ログイン情報は“ここに保管”と場所だけ示す)
- 手順:番号付きで、初めての人がたどれる粒度に
- 終わったら確認すること:公開ページを実際に開いて表示を見る、など
- 注意点:過去にミスしやすかったところを一言
情報のうち、ログインID・パスワードなどの秘匿情報はマニュアル本文に直接書かないのが安全です。パスワード管理ツールや、限られた人だけが見られる台帳にまとめ、マニュアルからは「◯◯に保管」と場所を指すに留めます。アカウントの棚卸しは サイトの引き継ぎ・アカウント確認リスト も合わせて使うと整理しやすいです。
続けるコツと、影響
マニュアルは「作る」より「腐らせない」ほうが難しい、とよく言われます。とはいえ気負わなくて大丈夫。画面や仕様が変わったら、そのとき触れた1枚だけ直す——このルールだけ決めておけば十分です。全部を定期点検しようとすると続きません。
手順が外に出ていると、いいことが静かに増えます。急に休んでも、隣の人が最低限の更新を回せる。引き継ぎのとき、ゼロから説明せずに「まずこれを読んで」と渡せる。そして何より、「自分がいないと止まる」という無言のプレッシャーが軽くなります。属人化を解くのは、あなたを不要にするためではありません。あなたが安心して休んだり、より大事な仕事に時間を回したりするためです。
日々の更新まわりを型にする話は お知らせ更新をひとりで滞らせない運用ルール や 更新依頼の受付ルール も、そのままマニュアルの1枚になります。公開前の確認は 公開前チェックリスト をひな型にできます。
今日のチェックリスト
- よくやるサイト作業を、手順は書かずに作業名だけ10個書き出した
- それぞれに「頻度(毎月/年1回など)」を添えた
- 一番よく使う作業を1つ選び、初めての人がたどれる手順に起こした
- ログインID・パスワードは本文に書かず、保管場所を指し示す形にした
- できた1枚を、個人PCではなく社内の共有場所に置いた
- 「画面が変わったら触れた1枚を直す」という更新ルールを決めた

分厚いマニュアルは、いりません。今日の帰りぎわに、いつもやっている作業を1つだけ、思い出しながら手順にしてみてください。その1枚が、未来のあなたと、まだ会っていない後任を、そっと助けます。
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